「開業医の妻」となることに、不安をお持ちではないですか?
17年前、私は2児を育てる専業主婦でしたが、勤務医だった夫が突如独立し「開業医の妻」になってしまいました。
当時は私も不安ばかりでしたが、今となっては大変よい機会に恵まれたと思っています。
本記事では私の経験上から体得した開業医の妻としてのHOWTOを以下の3点でお話いたします。
- 私の開業医の妻としての役割
- 開業医の妻に求められるスキル
- 開業医の妻としての困難とその乗り越え方
この記事を読むことで、あなたの開業医の妻としての不安を少しでも和らげることができたら幸いです。
開業医の妻となった私の役割
開業医の妻として私が勤めた役割は、クリニックの事務長でした。
夫に言わたままに「事務長」となったのですが、特に疑いもなく、
とそのままに受け入れました。
と楽観的に捉えていましたが、夫と共にクリニックを運営していくにつれ、クリニックの経営について考えるようになっていきました。
私は夫と共にクリニックを運営する「経営者」として、毎月のスタッフの給与支払、借金返済、物品支払などの責任を感じるようになり、クリニックの経営が気になりはじめ、次第に経営を主導する存在になりました。
今思えば、妻の私がクリニックの経営を担ったことが、夫のクリニックの成功のひとつの要員だったのかもしれません。
これは、私に経営の才能があったというわけではありません。 単純に経営を任される者の気持ちの問題です。
院長と運命を共にしている妻の私だからこそ、クリニックの未来を真に考え、成長させられたのだと思います。
ですから、もしあなたもこれから開業医の妻となるのであれば、「クリニックの経営を主導する事務長」を担うことをおすすめします。
その理由と成功への道筋を、私の17年の経験からお伝えします。
開業医の妻が経営を担うべき3つの理由
開業医の妻、院長夫人が事務長としてクリニックの経営を主導するべきだと私が考える理由は、以下の3つです。
- 院長は診療に専念しなければならない
- 夫婦は最も信頼し合える関係
- 医療スタッフは経営に明るくない
理由①院長は診療に専念しなければならない
まず第1に、院長は診療に集中する環境が必要だからです。
現場に事務長のような責任者を置かず、院長が全ての責任を持つ場合、スタッフだけで解決できないトラブルが発生した時などスタッフは皆、院長へ指示を仰ぐことになります。
それでは院長は診療に専念できないでしょう。
院長が診療に専念できなければ、必然的に提供する医療サービスの質は低下し、クリニックの評判が下がってしまいます。
そうなればクリニックの安定した経営を望むのは難しくなります。
院長が診療に専念できるよう、現場の責任者として事務長の存在が必要不可欠なのです。
理由②夫婦は最も強固な繋がり
2つ目に夫婦には強固な繋がりがあることです。
私と夫は夫婦として生活をともにしていますので、夫のクリニックの業績がそのまま私たちの生活に直結します。
だからこそ私は事務長として経営を学び、試行錯誤を繰り返しながら経営を続けてきました。
もし外部の人間に経営を丸投げしていたらどうでしょう? おそらく経営はうまくいきません。
実際に現在うまく行っていないクリニックの話を聞くと、ほとんどが経営をコンサルタントなどの外部に丸投げをしている状態です。
外部の人間は血縁に比べ、関わりが希薄ですし、責任の担い方が契約上、限定的にならざるを得ません。
クリニックの院長を務める知人のドクターからはこんなお話を伺いました。
コンサルタントや専門家は、自分の領域に関してはプロフェッショナルでも、クリニック全体を考えた経営にはあまり関与してくれないようです。
そのため、クリニックの経営がうまく行かなかったとしても
こんな形で自分の仕事に逃げ道を用意している部分もあるのでしょう。
外部の人間はたとえクリニックの経営がうまく行かなくても、コンサル料をもらえるわけですから、希薄な関わりで良いのです。
また、関連の製薬会社や不動産会社を儲けさせようとする思惑もあり、100%クリニックの立場に立って経営を考えてくれるわけではありません。
以上により、事務長は院長との繋がりが最も深い妻が担うべきだと考える理由です。
理由③医療スタッフに経営に明るい人はいない
最後に、医療スタッフに経営に明るい人はいないからです。
あなたは医療について現在何も知らなくても、医療スタッフに負い目を感じる必要はありません。 なぜなら、求められる役割が異なるからです。
医療スタッフは医療サービスを提供するためのプロフェッショナルではありますが、 経営に関しては全くの素人です。
スタッフも経営をするために集まったわけではなく、 あくまで医療スタッフとして働くために集まったメンバーなのですから、当然です。
さらに、あなたが経営の素人でも負い目を感じる必要もありません。 なぜなら、これから勉強すれば良いだけだからです。
クリニックのメンバーにおいて、 クリニックのことを誰より深く考えられるのは誰でしょうか?
院長とあなたです。
クリニック経営の勉強に1番時間を使えるのは誰でしょうか?
他ならぬあなたです。
あなたの今までの過去は関係ありません。
これから勉強を始めても問題なく間に合います。
これはあなたと同じように、開業直前から事務長の勉強を始めた過去の私が証明しています。
開業医の妻に必要なスキル
ここからは私が開業医の妻となったとき、クリニックの事務長として経営を主導するために習得したスキルをご紹介します。
開業してから17年、さまざまなことから勉強させてもらいましたが、特に重要だと感じているのが以下の2つです。
- 経営学の勉強
- ITスキルの勉強
スキル①経営学の知識
私は開業7年目、46歳の時にオンラインの大学に入学し、一般経営学を学び始めました。
経営学をはじめ問題解決、組織学、心理学、マーケティング、ITなどさまざまな分野の学びをクリニック経営に当てはめて応用しました。
その結果、スタッフの労働環境改善、業務の最適化などにつながっています。
私は開業して7年立ってから経営学の大切さに気づきましたが、あなたには即行動をおすすめします。
私が開業した17年前と現在では、クリニックを取り巻く環境が大きく変わってきているからです。
私が開業した頃の日本の人口減少は今より穏やかで、 医療機関の競争も少ない状況でした。
現在と比べ、そこまで経営を真剣に考えていなくてもなんとかなってしまった部分があったのです。
しかし医療業界が激変している今、開業するのであれば、事務長に一般経営学は必須です。
ただ、必要以上に不安になることはありません。
周りを見渡せばまだまだ旧態依然とした医療施設が多く、私のように一般経営学を取り入れているクリニックは多くありません。
しっかりと学び実践すれば、苦戦している旧来のクリニックをよそ目に、確実に勝ち残れるクリニックを作れます。
私のクリニック経営手法はウェビナーやYouTubeで無料公開もしていますので、ぜひ活用してください。
このブログを読んでくれているということはあなたは勉強熱心でしょうから、簡単に私の経営手法を習得できるでしょう。
スキル②ITスキル
私は開業後すぐ、ITスキルに詳しくなりたいと思い、パソコンスクールでコースを受講しました。
17年前、ITへの注目度は高くありませんでしたが、あのときITのスキルを身につけておいて本当によかったと感じています。
初めはパソコンの基礎である、 ワード・エクセル・パワーポイントから始めて、Webページを作成するための言語HTMLまで学びました。
エクセルはワードなどは業務効率化のために欠かせませんし、 Webページ作成の知識は、あらゆるものがネットで販売される近年において非常に重要なスキルとなっています。
私達のクリニックではネットからの診療予約が他院に比べて非常に高く、患者さんからも好評をいただいています。
こんなふうに思うかもしれませんが、ホームページのちょとしたアップデートやデザインの調整をすぐ行えるスキルがあると、他院との差別化ができます。
細部の修正、改善が積もり積もって大きな差になっていると感じています。
【コラム】開業医の妻に資格はいらない??
こんな質問をいただくことがあります。
私の結論としては、「あるに越したことはないけど、優先度は低い」です。
なぜなら、私は開業医の妻となる方には事務長(=経営者)となっていただきたいからです。
経営者になるのであれば、優先すべきは経営者としての勉強です。
医療事務や簿記をお勧めしているかたは、「クリニックの経理や雑務のお手伝いをするのに役に立つ」と考えてのことでしょう。
医療事務の資格があれば、レセプト業務の手伝いができますし、簿記の知識は財務を読む上で有用ですから。
しかし、繰り返しになりますが、経営者になるのであれば、優先順位は低いです。
実際、私はいずれの資格も持っていませんが、事務長としての業務に支障はありません。
私は専門知識が必要な業務は信頼できるスタッフに任せ、私はマネジメントやマーケティング戦略などの経営を行なっています。
これからのクリニックは目の前のことだけでなく 中長期のビジョンで他院との差別化をしていく必要があります。
その戦略を考えるのが、事務長である私の役目だと考えています。
もしあなたが事務や経理業務のお手伝いとしてクリニックに携わるのであれば、専門資格も重要です。
しかし私としては経営の勉強を優先し、 事務長として経営をする立場に身を置くことをお勧めします。
クリニックの経営が安定しなければ、スタッフも誰も幸せになれないからです。
開業医の妻・事務長として苦労したこと
ここまで読んで、こんな不安をもった方も多いかと思います。
そこで実際に事務長になった私が直面した困難や苦労をご紹介します。
事前に苦労するポイントがわかっていれば対策もできますし、気持ち的にも楽ですよね。
苦労したこと① スタッフマネジメントが大変
まず、なんといってもスタッフマネジメントです。
開業当初はスタッフから投げかけられる問題にいちいち悩んでいました。
現在はマネジメントのノウハウや経験値がついたため、余程のことでは動じなくなりましたが、当初のスタッフへの気苦労はこの記事だけでは語りきれません・・・
スタッフマネジメントについては、このブログで私の経験に基づくノウハウを全て公開しているので、参考にしていただけたら幸いです。
苦労したこと②クレーム対応
クレーム対応にも戸惑いました。
クリニックの現場において、最終的な責任は院長や事務長の私にあるので、全てのクレームを受け止めなければならず非常に悩んだ経験があります。
クレームを減らすには患者さんの満足度をあげ、患者さんを不快にさせないための接遇研修を行ったり、スタッフ教育を充実させたりすることで、発生を防止しています。
患者さん満足度の詳細についてはこちらの記事を参照ください。 >>【関連】患者さんの満足度を上げる3つのポイントと具体策
苦労したこと③家庭の問題
クリニックの事務長になることで、家庭への影響を心配される方も多いと思います。 私も2児の子を持つ母でしたので、家庭への影響も少なからずありました。
家庭の苦労①食事の問題
まず、食事の問題です。
開業当初、事務長業が不慣れで要領が悪かったため、時間におされ、昼ごはんを時間に用意できていないことがありました。
今思えばお弁当を購入するなりすればよかったのですが、当時の私は
『開業医の妻として食事の管理もできないの?』
と周囲に思われることを気にして、無理して自炊し、体調を崩しかけました。
今では事務作業などはスタッフに任せ、私は経営者として本当に必要なことに専念できるようになったので業務量が格段に減り、家事と仕事の両立ができています。
家庭と仕事の両立のカギは、いかに信頼できるスタッフを育て、長く働いてもらえる環境を作るかだと思います。
家庭の苦労②家族のプライバシー
家族のプライバシーが守られない点にも少し苦労しました。
私の場合はクリニックと自宅を同じ場所にしたため、ご近所さんに子どもの進学などを聞かれることが多くありました。
私も少し煩わしく感じていましたし、何より子ども自身もストレスを感じていたようでした。
これから開業地・居住地を検討される方々でプライバシーを確保したいとお考えの方は自宅とクリニックは少し離れていた方が楽だと思います。
開業医の妻から事務長になった私のノウハウを無料公開
冒頭にも少しお話しましたが、私は17年前まで2児の子を育てる専業主婦で、経営の経験は皆無でした。
それどころか結婚前に2年ほど働いただけで、社会経験もほとんどない状態でした。 当時は日本経済が好調な時代で、全く苦労を知らない能天気な人間だったのです。
それが一転、夫の開業を機にいきなりクリニックの経営を担う事務長になってしまいました。
当時は夫の願いを叶えたい一心で、がむしゃらに学び、奔走しながらなんとかこれまで経営を続けることができました。
今振り返ってみると、やはりこの頑張りは夫と深く結ばれた絆があったからこそだと思っています。
あなたも現時点で特別なスキルを持っていなくても大丈夫です。 あなたとパートナーとの何よりも強い絆が、1番の武器になるからです。
ぜひ、事務長としてあなたのパートナーのクリニックの経営を主導してください。
もし何か困ったことがあれば、私の経験がきっとお役に立てると思います。
私はこのブログや無料ウェビナーを通して、私の経験を余すことなくお伝えしています。
これを見れば、私が17年もかかってたどり着いたノウハウをすぐに吸収できます。
私は17年前の私と同じく、経験ゼロからクリニックの事務長となる仲間の少しでも参考になればという想いでこのブログを続けています。
このブログやウェビナーを通して、あなたの悩みや心配事が少しでも和らげば、これほど嬉しいことはありません。
ここまで長文をお読みいただきありがとうございました。またウェビナーやブログでお会いしましょう。