スタッフにまとまりがないために業務がスムーズにいかず困っていませんか?
スタッフの団結力を高めるためにはクリニックの理念を活用することが大切です。医院の存在意義を示す理念はスタッフの気持ちを一つにしてくれるので、まとまりのあるクリニックを作るためには必須です。
そこで本記事では、スタッフの団結力を高めるクリニック理念の活用法を紹介します。理念を上手く活用できれば、スタッフや医師が協力し合うチームワークの良いクリニックを作ることができます。
スタッフの団結力を高めるなら理念を上手く活用しよう
スタッフの団結力を高めたいなら、クリニックの理念を上手く活用しましょう。理念をスタッフに深く理解してもらうことでクリニック全体に一貫した精神が流れるようになります。
さらに、スタッフにはクリニックに対する愛着や誇りが生まれるので、同じ精神を持って団結しながら日々の業務を行うようになります。
スタッフがまとまらず悩んでいる方は、まずスタッフに理念を浸透させることを心がけてください。
理念の重要性
理念はスタッフ教育だけでなく、診療スタイル・建築設計・導入設備計画などさまざまな場面で役立ちます。
私は理念がないクリニックは土台も魂も欠けた脆弱な組織だと考えています。それほど理念はクリニックにとって重要であり、必要不可欠なものです。
中でも、クリニックの理念をスタッフに浸透させるメリットは主に4つあります。
- スタッフの意識や行動が理念に基づいたものになる
- クリニックへの愛着や誇りが高まり、モチベーションや仕事の質が上がる
- 全員が同じ目標を目指すことにより業務が円滑に運ぶ
- クリニックに親和的な一体感が生まれる
理念はスタッフ全員の行動に一体感を与え、モチベーションや仕事の質を向上させます。スタッフや医師の意欲を高めて団結力の高いクリニックを作るためには、理念への共感が大切です。
スタッフ教育における理念の活用法
私が実践した理念の活用法の中でもスタッフ教育において効果的だったものを3つ紹介します。
- 理念を反映させた就業規則を作る
- 理念に基づいたスタッフ研修を行う
- スタッフが日々理念を感じられる環境を作る
当院の理念は「より安全で最善の医療を目指して」です。これは院長が開業医の在り方を言葉にしたもので、さまざまな判断の核になっています。
当院では理念をスタッフ教育に活用したことで、全スタッフがこの言葉を共通言語として働いてくれるようになりました。
理念を反映させた就業規則を作る
就業規則はスタッフとクリニックのためのものです。理念を反映させ全スタッフが理解できるものを作りましょう。
当院の就業規則では次のように理念を組み込んでいますので参考にしてください。
- 1ページ目「はじめに」の部分で理念を記載
- 服務規程の基本原則の中で理念に基づいた内容を記載
服務規程の基本原則では、「最善の医療を目指す」という理念を反映させて「常に問題意識を高め向上心を持ち創意工夫により目標の達成と業務の改善をはかること」と記しています。
また、当院の就業規則はスタッフと相談しながら10回の改定を行っており、スタッフの働く環境に寄り添った規則になるよう意識しています。
理念に基づいたスタッフ研修を行う
当院で行っている理念に基づいたスタッフ研修は主に次の3つです。
- 持ち味カードを使った研修
- カエル会議研修
- このため研修
持ち味カードを使った研修
理念である「より安全で最善の医療」を目指すためには、目標をしっかりと持った責任感のあるスタッフが必要だと考えました。
そこで、スタッフの向上心を高めるために持ち味カードを導入しました。
持ち味カードは、柔軟性やチームワークなどビジネスパーソンに必要な要素が書かれたカードで、各々適したものを選ぶことで自分の長所と今後の能力開発ポイントを明確にできます。
自分のことを理解してオリジナルの行動目標を設定できるようになったことで、仕事に対する具体的なビジョンを持ちながら責任を持って行動するスタッフが増えました。
>>参考:持ち味カード
カエル会議研修
意識や働き方を「変える」ためのカエル会議研修は日常的に会議を行い、業務の無駄を見つけて早く「帰る」ためのやり方を学び実践していくための研修です。
カエル会議では各スタッフが自分の持つスキルと目標を書き出し、話し合いの中で現在持っているスキルのレベルを把握しながらそれぞれのスタッフで補完し合います。
このようにお互いに信頼と承認をし合える組織を作ることは、私たちの理念を達成するために必要な研修です。
このため研修
このため研修は、スタッフ1人1人が仕事をしている理由やその仕事が社会にどのように役立っているかを想像して言葉にする研修です。
この研修では当院の基本理念達成に関するチームの良い点や悪い点を付箋に書き、世の中の変化を把握しながらチームの改善や向上できることを出していきます。
また、提案の効果の大きさや難易度の高さを考え、優先度を決めることで優先順位の付け方も訓練することができます。
このため研修は理念を達成するために必要なことを理解し、同じ目標に向かって各スタッフが働くようになるので団結力のあるスタッフを教育できる効果的な研修です。
スタッフが日々理念を感じられる環境を作る
当院ではスタッフが日々理念を感じられるように次の工夫を行っています。
- 失敗を共有する教育
- 優先順位を考える訓練
理念の中にある「より安全な医療を目指す」ためにはミスを隠さずに改善していくことが大切だと考えました。
そのため、普段からミスした理由やそこから学べることをスタッフ全員でシェアをし、前向きにミスを改善してより安全な医療を提供できるように工夫しています。
また、理念の1つである「最善の医療」を目指すために優先順位を考える訓練も行っています。常日頃から優先順位をつけながら業務を行うよう指導することで、複数の問題が起きたときでもスタッフ自身で最善の判断ができるようになります。
理念を活用する際の注意点
理念を活用するときは、スタッフが生き生きと積極的に働けるように意識しましょう。ただスタッフに理念を覚えてもらうだけでは意味がありません。
理念は共感してもらうことで初めてスタッフ教育に良い影響を与えます。そのため、理念を活用する際はスタッフが気持ちよく働けるような方法を考えることが大切です。
スタッフに理念が浸透しないときは活用法の見直しを
理念が上手く浸透しないときは活用法を見直すようにしましょう。理念の活用法は今回紹介したもの以外にも「理念を念頭に置いた指導」や「理念に沿った人事管理」などさまざまな方法があります。
それぞれのクリニックに合った活用法があるため、幅広い視点で理念を広めるようにしましょう。
また、指導や研修の際はこちらの声かけの仕方や接し方を見直すことも大切です。否定的な発言をしたりきつい口調で話したりせず、相手の意見も聞きながらコミュニケーションを取りましょう。
まとめ
本記事ではクリニック理念の3つの活用法を紹介しました。医院の方針や存在意義を示す理念をスタッフ教育に活用することで、スタッフの団結力を上げることができます。
それぞれのクリニックに合った活用法を見つけて、チーム力の高いクリニックを作りましょう。