「電子カルテはどのように選べば良い?」「電子カルテ選びのポイントを知りたい!」このように電子カルテ選びにお悩みではありませんか?
電子カルテは、医療機関の中枢となるシステムであるため、どの電子カルテを選ぶかによって業務生産性やスタッフの働きやすさに大きく影響します。
電子カルテの機能や操作性はメーカーによっても多種多様です。自院に合わない電子カルテを選んでしまうと、かえって業務効率が落ちてしまうこともあります。
そこで、本記事では電子カルテ選びに失敗しないための、選び方のポイントを3つの観点で解説します。この3つの観点を念頭に置くだけでも、失敗のリスクを遠ざけるはずです。
電子カルテ導入に迷われている方にとって参考になれば幸いです。
業務上の問題点から選ぶ
1つ目は「業務上の問題点」を整理し、その問題を元に電子カルテを選ぶ方法です。どのクリニックでも少なからず問題を抱えていますし、事の大小にかかわらず問題点も千差万別です。
そのため、クリニックが抱えている問題を正しく把握することが、電子カルテを選ぶ一歩です。問題点を把握するためのポイントとしては次の2つが挙げられます。
業務フローをすべて洗い出し問題点を整理する
問題点を整理する際は、業務フローと各タスクにおいて、誰が・いつ・なにを・どのようにやるかを洗い出します。
仕事の流れを「見える化」にすることで、どこに問題点があるか見つけやすくなります。
スタッフの意見を求める
業務上の問題点を整理する際は、スタッフからも意見を求めるとよいでしょう。なぜなら、経営者である院長と現場のスタッフでは視点が異なるからです。
院長にとって問題ではないと感じていても、スタッフにとっては大きな問題と捉えている場合もあります。一つの視点だけではなく、あらゆる視点で見つめ直すことが正しい問題点の把握につながります。
既存システムとの互換性で選ぶ
2つ目は既存システムとの互換性で選ぶ方法です。
クリニックでは様々な医療機器などを使用しますし、オンライン予約システムなどを使用するケースもあるでしょう。それらのシステムとの互換性に問題がないと確認ができた電子カルテを導入します。もし導入後に互換性がないことに気づいた場合、既存システムまで入れ替える必要があります。
システムを比較検討し最適なシステムをイメージする
電子カルテを選ぶ際は、いくつかのシステムを比較検討した上で、どういったシステムが自院にとって最適なのかイメージを持つようにしましょう。
中には、なじみのレセコンのメーカー担当者に電子カルテの相談をするケースがみられますが、レセコンのメーカーが提供する電子カルテが最適であるとは限りません。
はじめは、他のクリニックへ見学に伺ったり、展示会に参加して色々なメーカーの機能・操作性を比較するのがおすすめです。そうすることで、自院にとって最適な電子カルテのイメージが具体化されていきます。
当院では5年前に完全電子化に変更した際、ベテランスタッフと一緒に近隣の2軒の眼科施設に見学に行くと同時に、東京都内で開催された医療機器展示会にも行きました。
いくつものメーカーの展示を見て、操作性や機能性を同時に比較し、さらに担当者に直接質問をすることで理解を深めました。その結果、自院にとって最も都合の良いメーカーと出会えたのです。
予約システム・医療機器との互換性を確認する
電子カルテを導入する際は、既存の予約システムや医療機器との互換性を確認します。互換性がなければ、システム間のシームレスな活用ができません。
たとえば、医療機器と電子カルテを連携し、解析ツールで検査データを分析ができ、患者さんにその内容をそのままお伝えできるといったレベルです。
予約システムでも同様です。予約情報を選択すると、その患者さんの来院履歴やカルテ情報が瞬時に表示されれば業務効率が飛躍的に向上します。
当院の場合は、眼科クリニックであることから医療機器が他科に比べて多いため、電子カルテとの互換性は特に重要なポイントでした。
また電子カルテ以外にも、新しい医療機器を購入する際は、互換性やネットワーク機能があるかを確かめた上で導入を検討しています。
導入後の利便性で決める
3つ目は導入後の利便性で決める方法です。いくら導入前にシミュレーションをしても、実際に活用してから気づくことは多々あります。特に、電子カルテはクリニックのスタッフ全員が活用するものなので、全員が活用方法をマスターする必要があります。
また、何かトラブルや不具合が生じた際にすぐにサポートしてもらえるかも確認しておくことが必要です。
導入後のサポート体制について確認する
ベンダー担当者に電子カルテ導入前後のサポート体制について必ず確認しましょう。
特に確認するべき点は以下の2つです。
- 導入前のベンダー側が提供する教育システム
- 導入直後のサポート体制の内容
電子カルテ導入直後は、業務フローが全て新しくなるため、スタッフも電子カルテの操作に戸惑う場面がたくさん発生します。その中で、患者さんに迷惑を掛けないためにも、サポートが必要です。
たとえば当院の場合は、導入前に約1ヶ月に渡ってスタッフはベンダー担当者からの教育を受けました。
また、導入本番からどれくらいの期間、現場に入ってサポートしてくれるのか。またサポート費用はいくら位掛かるかなどの見積りも必要です。
サポート費用はそれなりに掛かりますが、導入後に上手く使えず操作に困り果てるよりは、はじめにしっかりと使い方をマスターした方がその後の生産性を考えた場合プラスに働きます。
特に電子カルテ導入後の初動が肝心です。このタイミングでスタッフの意識改革も同時に行わなければ、後からでは余計に難しくなりますので注意しましょう。
システムのバージョンアップなどサポート範囲を確認する
クラウドの場合はバージョンアップが定期的になされるため、その頻度などを確認しておくと良いでしょう。
またオンプレ型の場合は、5年毎にハード機器の総入れ替えを提案するメーカーもあるため注意が必要です。5年後(再投資が必要となる時期)の投資設備の内容と金額をあらかじめリサーチしておき、事業計画に盛り込むようにしましょう。
5年前、当院が完全電子化に移行した際に掛かった費用は2,000万円程でした。しかし、あらかじめ5年後に必要な設備投資の内容やコストを調査し、機能性と一番コストパフォーマンスが良いメーカーを採用したことで、再投資費用が非常に少額で済んでいます。
まとめ|電子カルテを選ぶ際は徹底的にリサーチしよう
今回は、電子カルテ選びに役立つ3つのポイントを解説しました。それぞれに共通していえることは、はじめから電子カルテのパンフレットやカタログを見たり、ベンダー担当者の話を聞くのではなく、まずは徹底的に自院の問題点を整理し、理想の状態を具体的にイメージすることです。
どの電子カルテが最適かは、クリニックによって異なります。ベンダーが公開する導入実績や世間の評判だけで決めてしまうと、導入後に問題が生じることもあります。
電子カルテの導入は費用も掛かりますし、クリニック運営の中枢を担う重要なものです。だからこそ、導入前には、多少時間を掛けても徹底的に調べ尽くすことをおすすめします。
ぜひ「この電子カルテシステムが自院にとって最適である」と自信を持っていえるシステムに巡り会えることを願っています。本記事の内容が少しでも参考になれば幸いです。