「電子カルテはサーバー型とオンプレミス型どちらを導入すべき?」「どういう基準で選べばよいかわからない・・・」このようなお悩みをお持ちではありませんか?
電子カルテはサーバー型(クラウド型)とオンプレミス型の2つに分けられますが、それぞれメリット・デメリットがあるため、自院の状況に応じて選択する必要があります。特に電子カルテはクリニック運営の中枢を担う上、導入費用も高額ですので慎重に進める必要があります。
そこで本記事では、サーバー型とオンプレミス型のメリット・デメリットから、選び方のポイントまで解説します。当院ではこれまでに電子カルテを3度入れ替えました。そのときのクリニックの状況に合わせてベストな選択をしてきましたので、現在にいたるまで電子カルテによって多くの業務が効率化されました。
電子カルテ導入を検討中の方はぜひ参考になさってください。
サーバー型(クラウド型)とは?
サーバー型は、クラウド上のサーバーを利用してデータの保存・管理を行うタイプの電子カルテです。以下では具体的なメリット・デメリットを解説します。
メリット
サーバー型のメリットは初期費用が抑えられる点や、メンテナンス・保守作業が不要な点があげられます。
データはクラウドサーバー上に保管されるため、インターネット環境さえあれば院内どこからでもオンライン接続ができますし、パソコン以外にもタブレット端末での利用も可能です。
デメリット
一方、デメリットとしてはシステム利用料として毎月ランニングコストが掛かる点があります。また、パソコンやタブレットなどの端末は自身で用意する必要がありますし、万が一端末が故障した場合は自ら修理しなければなりません。
その他、セキュリティ対策に関しても自分たちで管理する必要があります。オンライン環境があればどの端末からでも使えるといった利便性はありますが、それと比例して情報流出のリスクも高くなります。
オンプレミス型とは?
オンプレミス型の電子カルテは、クリニック内に専用サーバーや専用端末を設置してデータの保存・管理を行うタイプです。
続いてオンプレミス型のメリット・デメリットについて解説します。
メリット
オンプレミス型のメリットにはセキュリティの高さが挙げられます。サーバーがクリニック内にあるため、情報漏洩のリスクを抑えられます。また、診療科別にシステムをカスタマイズできるので、自院の診療科目にあわせて柔軟な設定が可能です。
サーバー型に比べて、設定が複雑ですがシステムベンダーに依頼をすれば、操作説明や設定サポートなどの手厚いサポートを受けられます。
当院の場合は導入前はスタッフ一人ひとりに操作方法の教育、導入後は一定期間クリニックに常駐してもらいサポートをしてもらいました。
サポートには別途費用が掛かりましたが、初期費用として掛けた以上の効果を得ることができました。
デメリット
デメリットとしては、初期費用がクラウド型に比べて高額になりがちであることです。オンプレミス型の場合、通常のクリニックで300万円〜500万円となっており、診療科や診療内容により幅があります。
また、オンプレミス型はサービス側と保守契約をして機器管理を依頼する必要があるため、メンテナンス費用が別途発生します。その際にかかる費用は設置しているパソコン台数に比例します。
電子カルテの選び方
ここまでサーバー型・オンプレミス型の電子カルテについて解説しましたが、実際にどちらを選べば良いか判断基準に迷われる方も多いでしょう。電子カルテを選ぶ際のポイントは主に3つあります。
- 費用
- 使いやすさ
- システム連携
各ポイントを詳しく解説します。
費用面
電子カルテの導入・運用に掛かる費用は主に3つあります。
- 初期費用(イニシャルコスト)
- 月額費用(ランニングコスト)
- メンテナンス費用
サーバー型の場合、オンプレミス型に比べて初期費用が安価になりますが、毎月のシステム利用料としてランニングコストが発生します。色々オプション機能をつけてしまうと、その分月額費が上がるため注意が必要です。
オンプレミス型の場合はメンテナンスにも費用が発生するため、年間トータルでどれくらいの費用がかかるかシミュレーションをするようにしましょう。
以下の表は一般的な電子カルテを設置した場合のシミュレーションです。
サーバー型 | オンプレミス型 | |
初期費用 | 無料〜数十万円程度 | 300万〜500万円 |
月額費用 | 1万〜4万円 | 3万〜5万円 |
メンテナンス費用 | 基本的に掛からない | 2万〜3万円 |
使いやすさ(サポート含め)
電子カルテの目的は、導入することで一日の患者数の増加やスタッフの残業時間の抑制、または業務負荷の軽減につなげることです。
どんなに機能が豊富で便利なシステムであっても、医師やスタッフがシステムを使いこなせなければ意味がありません。だれでも使いやすいシステムであるかどうかは重要な判断基準です。
たとえば多機能を売りにしているシステムほど、操作画面が見にくくレスポンスが遅いことがあります。
特に近年の電子カルテでは、UI(ユーザーインターフェース)に力を入れています。優れたUIの電子カルテは、はじめて操作する方でもわかりやすくなっていますし、操作時のレスポンスが早いのが特徴です。
その他、操作方法に困ったときやトラブルが発生した際に、サポートが受けられるかどうかもあらかじめ確認すると安心です。
システム連携の可否
既存のシステムとの連携ができるかどうかも重要な確認ポイントです。たとえば、予約システムや医療機器、レセプトコンピューターなどそれぞれ連携できるか確認しましょう。
システム連携に関して詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
電子カルテ選びは、業務の問題点・現システムとの互換性・導入後の利便性で決める【予約システム・医療機器】
まとめ|電子カルテを導入する前に比較検討をしよう
本記事では電子カルテ導入の選び方について解説しました。サーバー型・オンプレミス型には、それぞれメリット・デメリットがあるため、それぞれの特性を理解した上で慎重に比較検討をするようにしましょう。
安易にイニシャルコストの安さだけで決めてしまうと、導入後に追加費用が発生してしまい、年間で見た場合に高額になるケースがあります。
また電子カルテを初めて導入するクリニックが、はじめから高機能な電子カルテを導入してもスタッフも含めて使いこなせず、結果として宝の持ち腐れ状態になる可能性もあります。
まずは必要最低限の機能が付いている電子カルテを導入し、電子カルテに慣れたころに入れ替えをするなど、段階的にステップを踏むことで失敗リスクも抑えられます。
電子カルテはあくまでも道具(ツール)でしかありませんので、どういったシステムが自院に合うかじっくり検討した上で、ベストなサービスを見つけてください。本記事の内容が少しでも参考になれば幸いです。