クリニックでは日々多くの患者さんと接することや、少人数で業務を回すことから、働くスタッフがストレスを抱えたり不満を持ったりするケースは少なからず存在するものです。
しかしながら、スタッフの不満に気づかず放置したり、見て見ぬ振りをしたりすると、その影響は深刻なものに発展する可能性があります。最悪の場合、優秀なスタッフが退職してしまったり、集団離職に繋がったりするリスクもあるため注意が必要です。
今回は、スタッフの不満がクリニックに与える影響について解説します。
スタッフ同士の意思疎通ができなくなる
クリニックにとって、スタッフ同士の円滑なコミュニケーションは欠かせません。しかし、スタッフ同士の仲が悪かったり、信頼関係が築けていなかったりすると、スタッフ同士の意思疎通が上手くいかず、業務生産性の低下につながります。
同様に、院長とのスタッフ間の信頼関係も重要です。院長がスタッフに対して高圧的な態度を取ったり、指示の仕方に配慮がなかったりすると、ストレスの要因になります。
もちろん、診療中は慌ただしいため、言葉足らずな指示になってしまうこともあるでしょう。そうした場合でも、診療後にフォローを入れるなどして、スタッフが不満を溜め込まないように配慮することをおすすめします。
仕事の質が下がる
スタッフの不満は仕事のクオリティにも影響します。なにかと不満を抱え、モチベーションが上がらない状態で働き続けていると、スタッフの仕事の質は明らかに落ちるでしょう。その状態が続くようであれば、あからさまに仕事の手を抜いたり、必要最小限のことしかやらなくなるケースもあります。
小規模のクリニックは、当然ながら自分の仕事だけをやればいいわけではありません。円滑に業務をすすめるためには、チームの一員として一人ひとりが主体性を持って仕事に取り組む必要があります。
しかし、スタッフに対して「もっと主体性を持ちなさい」と言うだけでは、何も変わりません。スタッフ一人ひとりが、周囲と良好な信頼関係を築け、モチベーション高く仕事に向き合えていれば、主体性は自然と高まるものです。
つまり、スタッフの主体性がないことに悩む場合は、「そもそもスタッフが何か不満を抱えているのではないか?」と客観的に見つめ直すことも必要です。
スタッフの離職につながる
スタッフの不満が大きくなれば、離職につながるリスクも高まります。さらに一人が離職することで、他のスタッフの負担も大きくなるため、そのスタッフも離職につながるといった悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
また、スタッフの心に余裕がないと、新たにスタッフを採用しても育成できず、せっかく採用したスタッフも早期離職につながる可能性があります。最悪のケースはスタッフ複数名の一斉離職につながることです。
そうなった場合は、クリニックを長期的に休診せざるを得なくなり、経営面でも大きなダメージを被るため注意しましょう。
患者さんから苦情が届くようになる
スタッフの不満やモチベーションの低下は勤務態度にもあらわれます。とりわけクリニックでは患者さんとスタッフが接する機会も多いため、勤務態度に対する苦情などが患者さんから届く可能性があります。
例えば、「対応が雑すぎる」、「横柄な態度を取る」といったように、患者さんはスタッフの態度に敏感に反応します。患者さんから頂いた指摘は真摯に受け止め、なぜこのような態度を取ってしまったのかは、スタッフ本人としっかり話す必要があります。
クリニックの評判が落ちる
地域に根ざしたクリニックに求められるのは、単に医療を提供する場ではなく、その地域に住まわれるみなさまにとって、安心・信頼できる医療機関であることです。
しかし、スタッフがクリニックの不満を多く口にするようになると、医療従事者としての意識が薄れ、クリニックとしての秩序もなくなります。
自分の都合だけ考えたり、他人の迷惑を顧みなかったりというように、自分本位な考え方になるため、やがて患者さんに対する対応の質も悪くなります。クリニックの評判は人づてに伝わり、新規の患者さんの減少にも影響します。
とりわけ近年では、クチコミサイトでかんたんにクリニックのレビューや評価を見れる時代です。評判が悪いクリニックは低評価が付くケースもあるため、注意しましょう。
まとめ
今回は、クリニックで働くスタッフの不満がもたらす影響について解説しました。少人数で運営するクリニックは、良くも悪くも一人の影響が全体に影響します。
そのためスタッフが不満を抱えている場合は、事態が深刻化する前に対処し、早期改善に努めましょう。