「スタッフによって仕事の質に差があって困る・・・」「スタッフにはオールラウンダーとして活躍してほしい・・・」このようなお悩みを抱えていませんか?
少人数で運営するクリニックは、スタッフ一人ひとりのスキル向上が求められます。しかし実際には、スタッフによって得意不得意があるため、全員が同じ様に動けるわけではありません。
そのためクリニック運営を成功させるには、適材適所の人材配置が鍵を握ります。一人ひとりのスタッフが自分の能力を最大限に発揮できる場を提供することで、クリニック全体の業務生産性が上がり、スタッフのモチベーションアップにもつながります。
本記事では、スタッフの適材適所の具体的なポイントと注意点を解説します。
適材適所を実現する3つのポイント
適材適所の人材配置の実現に向けて大切なことは、「思いつき」や「勘」に頼るのではなく、本人の力量を見極めた上で配置することです。
また、配置後も振り返りをしながら、定期的に業務内容を見直すことも大切です。ここでは、適材適所を実現する際に抑えておくべき3つのポイントを解説します。
スキルと適性を分析する
スタッフにとって最適なポジションや業務を任せるためには、まずは各スタッフのスキルや適性を正しく把握することが大切です。得意なことや苦手なことは一人ひとり異なりますので、各スタッフの力量や特徴を見極め、長所が最大限に活かされる役割を見つけましょう。
もちろん、基本的な業務は全員が出来る状態にすべきです。しかしながら、基本的に苦手なことを無理に押し付けても上手くいきません。それよりも自身のパフォーマンスが十分に発揮できる環境を提供した方が、本人もやる気になりますし、結果として全体の業務が円滑に回るようになります。
個別に目標を設定する
スタッフごとに具体的な目標を設定します。この目標は個々のスキルや適性に基づいたものが望ましいです。
また、目標設定をする際は次の観点で決めておくと後から振り返りしやすくなります。
- いつまで(期限)
- 何を(タスク)
- どうやるか(方法)
その目標達成に向かって自己研鑽をしたり、試行錯誤を繰り返したりすることで、仕事の精度が上がります。逆に目標がないまま仕事に取り組んでも、思うような成長は見込めません。背伸びするくらいの目標を設定して、一定の緊張感をもたせることが大切です。
定期的にフィードバックを行う
スタッフに仕事を任せてからも、丸投げするのではなく、定期的なフィードバックの機会を設けましょう。進捗状況を確認したり、悩んでいることを確認したりすることは、モチベーションの維持やスタッフの成長促進につながります。
スタッフが抱えている課題や成長を常に把握し、それに応じた適切なサポートをすることは、適材適所の配置を維持する上でとても大切です。
スタッフの配置を決める際の注意点
スタッフごとに役割を変えることは、思わぬ弊害を生むことがあります。そのため、スタッフの配置を決める際は、いくつかのポイントに注意した上で、慎重に進めることが大切です。
ここではスタッフの配置を決める際の注意点を3つ解説します。
一律の評価基準に陥らないようにする
適材適所で業務を振り分けるため、一人ひとり業務内容が変わってきます。業務によっては負担が大きかったり、一定の責任を求めたりすることもあるでしょう。それに対して一律に評価してしまうと、不満が生じたり、モチベーション低下につながったりする可能性もあります。
そのため、全員に同じ評価基準を適用するのではなく、業務内容・求める成果・目標達成度合いに合わせた評価基準を設計することが大切です。スタッフ一人ひとりが自分の役割に納得し、相応の評価をすることで、モチベーションが保たれます。
配置の固定化を避ける
一度配置したからといって、それが永続的なものであるとは限りません。スタッフの成長やクリニックの状況の変化に対応して、配置を見直すことが求められます。
配置の固定化をしてしまうと、その人が退職してしまったときに他に対応出来る人がいなくなりますし、長期間同じ業務を任せると、マンネリ化して仕事の質が下がる可能性があるためです。
そのため、定期的に配置転換を図り、一定の緊張感を持って仕事に取り組んでもらうようにしましょう。
スタッフのキャリアパスを考慮する
キャリアパスとは、「企業内での仕事における最終的な目標設定と、そこに向かって進むための道筋」のことです。
スタッフが「最終的にどんなキャリアを描きたいか」「そのためにこれからどんな経験を積みたいか」といったように、キャリアパスを考慮して人材配置を考えましょう。
スタッフが前向きに仕事に取り組んでいれば、おのずとモチベーションは高くなるものです。そのため、院長や事務長はスタッフ一人ひとりのキャリアパスを理解し、その実現に向けてより良い機会を提供する、という姿勢を持つことがスタッフとの信頼構築につながります。
当院の事例
私たちの眼科クリニックでは、スタッフ全員にマルチタスクを求めていることから、完全な適材適所配置は難しいと感じていました。なぜなら、無理に業務を振り分けるとスタッフの休暇調整が困難となり、かえって職場環境の悪化を招いてしまう恐れがあったためです。
しかしながら、クラーク業務に関しては適材適所の配置が必須でした。コンピュータ入力が遅いスタッフでは、どうしても診療のスピードに影響を及ぼし、患者さんの待ち時間や残業時間の増加につながってしまうからです。
そこで、クラーク業務が得意なスタッフと苦手なスタッフでグループ分けを行い、得意なスタッフに任せるようにしたところ、問題が解消されました。
現在当院では部門ごとにリーダーを配置していますが、こちらも適材適所の考え方を取り入れています。各スタッフのスキルや適性を生かして、部門リーダーに任命することで、モチベーション向上と部門全体の生産性を高めることに成功しました。
こうした適材適所の配置と、マルチタスクのバランスを保つことで、クリニックの効率とスタッフの働きやすさを両立する新たな道筋を見つけることができました。
まとめ
適材適所での人材配置は、クリニック経営における成功へと繋がります。これを適切に行うためには、スキルと適性の分析、目標設定、そしてフィードバックとコミュニケーションが重要となります。
また、一律の評価基準に陥らず、配置の固定化を避け、スタッフのキャリアパスを考慮することも忘れてはなりません。これらのポイントを踏まえて、みなさんのクリニックでも人材配置に積極的に取り組み、スタッフの成長を促していきましょう。