クリニック経営において、ブランディングと広報戦略は欠かせません。どちらも患者さんの信頼と満足度を高め、継続的な集患を実現するために重要な要素です。
しかしながら、そもそもブランディングとはどういったものなのか。具体的にどのように自院のことを周囲に伝えていけば良いかわからない方も多いでしょう。
今回は院長夫人でありながら、クリニックの事務長を勤める私の視点で、クリニック経営に必要なブランディングの考え方と、広報戦略の進め方について解説します。
本記事を参考に、ぜひ患者さんが絶えないクリニック運営を目指してください。
クリニックのブランディングとは
そもそも「ブランディング」とは、ある企業や商品・サービスが持つ独自の価値を形成し、それを顧客ターゲットに認知してもらう活動のことを指します。
わかりやすくお伝えすると、顧客が「●●が欲しい」「●●をしたい」と思い立った際に「それならこの●●を利用しよう」と、真っ先に自社の商品やサービスを想起してもらうために行われる活動です。
例えば、「ランチを手軽に済ませたい」という時に、『マクドナルド』を思い浮かべる方が多いでしょうし、「カッコいいスマートフォンといえば?」と聞かれた時に、Appleの『iPhone』をイメージする方も多いでしょう。
ブランディングが成功すると、長期的な売上や利益の確保、広告媒体によるプロモーション活動の依存脱却にもつながります。
クリニックにおいてもブランディングを意識することは非常に重要です。当院は静岡県島田市にある眼科クリニックですが、島田市や近郊にお住まいの方から、「島田市の眼科クリニックといえば、おおるり眼科クリニック」と真っ先に思い浮かべていただくことは、まさにブランディングそのものだからです。
クリニックのブランディングにおいて大切な要素は、そのクリニックが提供する医療サービスの質や、スタッフの対応、設備の整備度などが挙げられます。これらの要素は、患者さんがクリニックを選ぶ際の判断基準となり、クリニックの信頼性を高める役割を果たします。
クリニックのブランディングに欠かせない広報戦略とは
広報戦略は、クリニックのブランディングを具現化し、それを患者さんや一般の人々に伝えるための手段です。具体的には、以下のようなことを広く伝える活動を指します。
- クリニックの理念
- 提供するサービスや取り組み
続いて、それぞれの広報活動を詳しく解説します。
クリニックの理念を伝える
広報戦略を通じて、クリニックの理念や目指す医療サービスの質を明確に伝えることが重要です。これは、クリニックがどのような価値を提供し、どのような医療サービスを目指しているのかを患者さんや一般の人々に理解してもらう目的があります。
こうした理念を広報活動を通じて伝えることで、クリニックのブランドイメージを形成し、患者さんからの信頼を得ることができます。
提供するサービスや取り組みを伝える
クリニックが取り組んでいる診療内容や、地域に対する取り組みを伝えることも重要です。具体的には、新しい設備の導入、スタッフの教育や研修、新しい治療法の導入などが挙げられます。
これらの情報を伝えることで、患者満足度の向上や地域医療に貢献するためにどのようなことを取り組んでいるかを示し、クリニックの信頼を高めることができます。
広報戦略の方法
広報戦略の手段としては、ポスターや看板広告に加え、近年ではデジタルサイネージやWeb広告、SNS、Googleマップなどが活用されています。これらの手段を通じて、クリニックの理念や取り組み、サービスなどを広く伝えることができます。
ただし、広告媒体によってターゲット層が異なる上、媒体ごとの特徴も異なります。そのため、広報戦略を行う際は、あらかじめ誰に・何を・どのように伝えるかを明確にした上で、適切な手法を選択することが大切です。
いくつかの手法を組み合わせれば、より幅広い属性の方にメッセージを発信できるでしょう。結果として、クリニックの認知度向上やブランドイメージの確立につながり、患者さんの来院数やリピート率の向上が期待できます。
広報戦略を進める4つのステップ
広報戦略を進める際のステップは、目的やゴールにもよりますが、一般的には4つに分けられます。
- ブランドイメージの定義:クリニックがどのような価値を提供し、どのような医療サービスを目指しているのかを明確に定義します。例えば、クリニックの理念や目標が含まれます。
- 具体的な活動計画:ブランドイメージを体現するための活動内容を計画します。例えば、スタッフの教育、設備の更新、新しい医療技術の導入などが含まれます。
- 活動の実施と評価:計画した活動を実施し、その効果を評価します。これには、患者さんのフィードバックの収集や、サービスの品質の評価などが含まれます。
- 成果の報告:実施した活動の成果を広報手段を通じて積極的に伝えます。これにより、患者さんの信頼を獲得し、新たな患者さんを集めることが可能となります。
これらのステップはあくまでも基本的なステップです。実際にどういった戦略で進めていくかは、クリニック運営の目的や目指すゴールに合わせて調整しましょう。
広報戦略の役割を院長夫人が担うべき理由
広報戦略やブランディングと聞くと、「クリニックのマーケティングに詳しい、経営コンサルタントや専門家にお願いした方が良いのではないか?」と考える方も多いでしょう。しかし、クリニックの広報戦略に関しては、なるべく外部の人間ではなく、内部の人に任せるようにしましょう。
特に院長と最も距離が近い存在である、院長夫人が担うべきだと考えています。
私自身、元々マーケティングや広報戦略の知識は一切持ち合わせておりませんでしたので、文字通りイチから勉強しました。大変なこともありましたが、今となっては「外部に任せず、自分でやってよかった」と強く感じています。
院長夫人が広報戦略を担当することは、いくつかのメリットがあります。
1つ目は、院長夫人はクリニックの運営に深く関与しているため、クリニックの理念や取り組みを理解している。これは、クリニックのブランドイメージを形成する上で重要な要素であり、そのメッセージを正確に伝えることができます。
2つ目は、院長夫人は院長と密接に連携しているため、院長の考えを直接反映した広報活動を行うことが可能です。これは、クリニックの理念や目指す医療サービスの質を一貫して伝えることができ、クリニックのブランドイメージを強化することにつながります。
3つ目は、院長夫人が広報活動を担当することで、院長自身が医療サービスに専念できる。これにより、クリニックのサービスの質を維持しつつ、効果的な広報活動を行うことが可能となります。
まとめ
クリニックのブランディングと広報戦略は、患者さんの信頼と満足度を高め、継続的な集患を実現するための重要な要素です。これらの活動を適切に行うことで、クリニックはその存在価値を高め、患者さんの選択肢となることができます。
特に、院長夫人が広報戦略を担当することで、クリニックのメッセージをより正確に伝え、クリニックのブランドイメージを強化することが可能となります。