「限られた時間の中で、広報活動に手が回らない・・・」「患者さんとのコミュニケーションを大切にしつつ、新規患者も獲得したいけど、何から手をつければいいかわからない・・・」
クリニックを経営する中で、このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。クリニックの広報活動にAIを活用することで、業務効率化を実現し、質の高い情報発信が可能になります。
本記事では、クリニック広報の効果アップを目指す方に向けて、AI活用のメリットや具体的なAI活用方法、 AI活用の際の注意点まで詳しく解説します。
ぜひ、あなたのクリニックの広報力強化に役立ててください。
クリニックの広報にAIを活用するメリットとは
AIを活用することで、限られた予算や人員でも効率的な集客や差別化が可能になります。ここでは、クリニックの広報にAIを活用するメリットを詳しく解説します。
情報収集や分析のスピードが大幅に向上する
AIを活用すれば、膨大なデータの収集や分析を短時間で行えます。例えば、問診票から患者さんの属性や悩みを自動抽出したり、Webサイトの閲覧履歴から関心の高い治療法を割り出すことも可能です。
リアルタイムに情報を把握することで、ターゲットを絞った広告などのマーケティング施策に活かせるでしょう。
自動化により業務効率化を実現できる
定型業務をAIで自動化することで、広報業務の効率化が図れます。データ入力や集計、定型文書の作成、画像や動画の編集など、人的リソースを割いていた作業を機械的に処理することが可能です。
付加価値の高い仕事にリソースを集中できることは、大きなメリットと言えるでしょう。
スタッフの業務負担が減りモチベーションが向上する
AIを活用することで、スタッフの業務負担が軽減するため、スタッフは患者さんとのコミュニケーションにより注力できるようになります。一人ひとりと向き合う余裕が生まれ、やりがいを感じながら業務に打ち込めるはずです。
また、AIに任せられる業務が増えることで、新しい広報施策やコンテンツ制作など、新しい分野にもチャレンジしやすくなります。
クリニック広報でのAI活用方法
AIを活用することで、クリニック運営の様々な場面で業務効率化を実現します。特に、クリニックの広報活動は、AIの活用範囲が広い分野です。
ここでは、クリニック広報におけるAI活用方法をご紹介します。
データ分析・レポート作成
AIを活用すれば、Webサイトのアクセス解析や患者データの分析、競合分析などを自動化できます。大量のデータから傾向を見抜き、レポートにまとめることで、データに基づいた意思決定が可能になるでしょう。
専門的なデータ分析の知識や経験がなくても、AIが必要な情報を導き出してくれるのは大きなメリットです。
広報企画の立案
広報企画において、患者さんのニーズを的確に捉えることは容易ではありませんが、AIを活用することでさまざまなヒントを得られます。
例えば、広告文やキャッチコピー案を考えてもらうなど、AIがアイデア出しをサポートしてくれます。企画立案のスピードと精度を高められるでしょう。
画像・動画作成
SNSの普及により、今や画像・動画は欠かせないコンテンツになりました。しかし、クオリティの高いものを制作するのは専門性と労力がかかります。
そこで、AIを使えば、大量の素材から良質なものを自動で選別したり、編集作業を自動化したりできます。
資料作成
広報では様々な文書作成が求められますが、資料作りは時間と手間がかかる作業です。AIを活用すれば、情報収集から文書の自動生成まで、一連の工程を効率化できます。
AIによる提案を最終的にチェックし、ブラッシュアップすることで、限られた時間でも質の高い資料が完成するでしょう。
メール文書やプレスリリースの作成
EメールやDM（ダイレクトメール）などの文書作成は、AIを活用することで大幅に効率化できるようになりました。AIを使えば、状況に応じた適切な文章を自動生成してくれます。
また、プレスリリースや広報誌などの文書作成にも、AIを活用できます。AIが情報を整理し、文書の構成や表現を提案してくれることで、執筆の負荷を下げられるでしょう。
どういった文書を作成すれば良いか迷う場合も、AIにいくつか案を示してもらい、それをベースに推敲することが可能です。
議事録作成
会議の議事録作成は、手間のかかる作業の一つです。AIを活用すれば、音声データからテキストへの変換や、発言者ごとの整理を自動で行えるようになります。
これにより、参加者は会議に集中することができ、欠席者も議事録を見ることで、会議の内容を正確に把握することが可能です。
外国語の翻訳
グローバル化が進む中、外国語の情報発信や海外とのコミュニケーションの機会も増えています。
AIの翻訳機能を使えば、言語の壁を越えたスムーズな情報交換が可能になります。特に、患者さんの中で外国人の方が多い場合などは、円滑なコミュニケーションをサポートします。
SNSコンテンツ作成
SNSは患者との直接的なコミュニケーションの場であり、広報の重要なチャネルです。AIを活用することで、SNS運用の工数を削減しながら、効果的な情報発信ができるようになります。
例えば、投稿文の自動生成や、レビューに対する返信文作成などに活用できるでしょう。ただし、AIの提案をそのまま使うのではなく、最終的に人間がチェック・修正する必要があります。
クリニック広報へのAI活用におけるポイント
AI活用は、クリニックの広報力を高める大きなチャンスですが、適切な運用には戦略が必要不可欠です。
ここでは、AI活用の成否を分ける3つの重要ポイントを解説します。
目的にあったAIツールを導入する
AI活用の第一歩は、目的に合ったAIツールを選ぶことです。広報の課題を明確にし、最適なツールを導入しましょう。例えば、文章の生成ならChatGPT4oやClaude3（2024年5月25日時点）がおすすめです。
ただし、はじめから高額なツールを導入することは避けるべきです。まずは無料で使えるツールや簡単なタスクからAIを取り入れてみて、段階的に本格導入すると良いでしょう。
AIに依存し過ぎない
AIはあくまで業務を「補助」するもので、全てを任せきりにするのは危険です。特に医学的にエビデンスが求められるものは注意が必要です。なぜなら、AIは誤った情報を出力することもあるからです。
もし誤った使い方をすると、法的責任を問われることもあります。実際に、厚生労働省では「人工知能（AI）を用いた診断、治療等の支援を行うプログラムの利用と医師法第17条の規定との関係について」（医政医発1219第1号）という通達を出しています。
このように、AIを盲信しすぎると、判断ミスによる意図しない結果や、スタッフのスキル低下などのリスクが生じます。AIの提案を鵜呑みにせず、最終的な意思決定は人間が行うことが重要です。
参考：【識者の眼】「AIによる医療の責任は誰が負うのか？」猪俣武範｜日本医事新報社
個人情報・機密情報の扱いに注意する
医療機関では特に、患者の個人情報や機密情報を扱うため、細心の注意が求められます。AIツールを導入する際は、データの暗号化、アクセス制御、情報の匿名化などのセキュリティ対策が欠かせません。
また、スタッフ全員が情報管理の重要性を認識し、適切に行動できる体制を整える必要があります。
- 定期的な従業員教育の実施
- 情報管理ルールの明文化
- 違反時のペナルティ設定
AIツールの設定ミスや不適切な利用は、思わぬ情報漏洩につながりかねません。技術的対策と人的対策を通じて、情報漏えいリスクを最小限に抑えることが肝心です。
まとめ｜クリニック広報にAIを活用して、患者さんとの絆を深めましょう！
クリニックの広報は業務内容が多岐に渡るため、煩雑になりがちですが、AIの力を借りれば、業務効率化や品質向上に役立ちます。
近年、AI技術は目覚ましく進化しており、あらゆるビジネスでAI活用がスタンダードになりつつあります。「AIは良くわからないから」といった理由で距離を置くのではなく、まずは身近な業務でAIを取り入れてみるといったチャレンジ精神が大切です。
ただし、AIはあくまでも人間の補助ツールです。患者さんの不安に寄り添ったり、温かな心でおもてなしすることは人間にしかできません。AIを活用しながら、患者さんとの絆を深めていきましょう。
