新規の患者さんは増えているのにリピートしてくれる患者さんが少ない・・・とお悩みではないでしょうか。
リピート率アップを実現するためにはクリニックマーケティングをしっかりと行う必要があります。マーケティングは新規患者にフォーカスを当てて行われることが多いですが、やり方によってはリピート患者獲得につながるのです。
そこで今回は、リピート率向上のためのマーケティング戦略について紹介します。この記事を読むことで、クリニックマーケティングの重要性や集患に効果的なやり方を理解することができます。安定したクリニック経営を実現させましょう。
マーケティングとは
活動は市場調査や競合分析のほか、行った施策の効果検証などを行います。マーケティングでは、お客様に製品を売りつけるのではなく自然に買ってくれるような状態を作ることが大切です。
マーケティングは新規患者+リピート患者アップにもつながる
マーケティングは、新規患者獲得に効果的と思われがちですが、実はリピート率アップにもつながります。
患者さんのニーズを捉え、正しいプロモーション戦略を行うことでクリニックの印象が上がります。一度来院した後もイメージが良いままであればまた来たいと思ってもらえるでしょう。
このように、マーケティングは新規患者に加えてリピート患者の増加にもつながるため、集患に大変効果的な方法です。
院長がマーケティングを学ぶべき理由
マーケティングは、他人に任せず院長もしっかりと学んでおきましょう。なぜなら、マーケティングの知識が0だと、コンサルタントなどが提案する施策の善し悪しを判断できないからです。
残念ながら、コンサルタントなどの業者の中には「やりっ放しで自分の利益しか考えていない」方がいます。もし、そのような業者に企画を提案されたとき、それが本当に役立つものなのか判断できないと経営が上手くいきません。
マーケティング戦略を厳しく精査する力や最善の判断を下し指示を出せる力をつけておくことで、他人の「いい加減な仕事」を防ぐことができるでしょう。
クリニックマーケティングの戦略プロセス
最初に、クリニックマーケティングの戦略プロセスを紹介します。戦略プロセスは主に次の4つに分けられます。
- マクロ環境分析
- 業界環境分析
- 目標の設定
- 施策の選定と実行
これから紹介する方法は、ビジネスマーケティングで使われるやり方をクリニック経営に置き換えたものです。
マクロ環境分析
マクロ環境分析は、「大局的な視点でみたビジネス環境の分析」のことです。ここで考えるべき環境は、主に以下の4つです。
- 政治環境
- 社会環境
- 人口動態
- 先端技術
これらは、クリニックマーケティングにそのまま置き換えることができます。どの環境もクリニック側でどうにかできるものではないので、「どのような影響がどの程度あるのか」を3~5年後の将来予測を含めて把握するようにしましょう。
業界環境分析
業界環境分析は、「マクロ環境分析の視野をさらに絞り込んで行う分析」のことです。ここでは、以下の「3C分析」と呼ばれるフレームワークを活用します。
3C分析 | ||
顧客分析 | 競合分析 | 自社分析 |
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3つに分けて分析することで、自社の強みと弱みを明確にし、顧客のニーズをつかみ、競合に勝つ要因を見出します。
目標の設定
さまざまな視点から分析を行った後「目標の設定」を行います。マクロ環境分析や3C分析を使った分析をもとに、具体的な問題や目指すべき目標を洗い出しましょう。
そしてこれらに優先順位をつけ、次の「施策の選定と実行」に移ります。
施策の選定と実行
最後に、「施策の選定と実行」を行いましょう。このステップでは、以下の4Pと呼ばれるマーケティングの重要な要素を意識することが大切です。
- 製品戦略
- 価格戦略
- 販売戦略
- プロモーション戦略
クリニック経営において価格や販売内容はほとんど決まっているため、「価格戦略」と「販売戦略」については特別な検討は必要ないでしょう。
「製品戦略」は、どのような診療を行うか、どのような機器を使って診療可能な対象疾患を拡充していくかなどを検討することが大切です。
対象疾患が増えれば、患者さんがほかの病気にかかったときにも来院するので、リピート率向上につながります。
「プロモーション戦略」ではAISCEAS(アイシーズ)を活用し、患者さんに真っ先に候補として思い浮かべてもらえるよう、事前の認知を目指してプロモーションを行う必要があるでしょう。AISCEAS(アイシーズ)については、次の章で詳しく解説します。
AISCEASを活用したクリニックマーケティング
プロモーション戦略で大切なAISCEAS(アイシーズ)を使ったマーケティングのやり方について詳しく紹介します。AISCEAS(アイシーズ)は、「顧客が初めて製品と出会ってから購入に至るまでの7つのステップを示したもの」です。
- 認知(患者さんがクリニックについて知る)
- 知覚(興味・関心を持つ)
- 検索(検索エンジンで情報収集を行う)
- 比較(ほかのクリニックと比べる)
- 検討(詳細に検討する)
- 受診(実際に受診する)
- 共有(インターネットなどで感想を共有する)
今回は、この中からプロモーションが活きる4つのステップについて紹介します。この4つのステップはダイレクトに受診につながるので、プロモーションの効果が非常に出やすいです。
認知
認知とは、1つ目のステップで「患者さんが広告・クチコミなどによってクリニックを知ること」です。
ここでは、診療を受ける必要が出てきたときに候補に挙げてもらうことが目的です。一度来院したことがある患者さんでも、違う病気になった際の候補に入れてもらうことでリピート率向上につながるでしょう。
認知を高めるためには、以下の方法がおすすめです。
- 看板や交通広告の設置
- 地域の催しや周囲の商店街に参加
- 雑誌やTVの出演などのメディア露出
- ホームページの制作
地域との関わりやメディア露出を増やすといった人的プロモーションは、医師の顔をあらかじめ知ることができるので、患者さんのクリニックを訪れる心理的ハードルを下げることができます。
また、ホームページの制作は、あくまでも当院がターゲットしたい疾患について、ネット上で検索した人々を誘導することを目的とするべきです。
検索エンジンで上位表示されるための外部・内部SEO対策ではないことを意識しながら行いましょう。
検索
検索は、3つ目のステップで「インターネットを検索して、疾病とクリニックの情報を収集する」ことです。
実際に患者さんがインターネット検索をするときに役立つプロモーション施策は、SEO対策とMEO対策です。
SEO対策では、検索エンジンで上位表示させるための対策を行います。具体的には、主に以下の内容を満たすホームページ作りが重要です。
- 1ページの文字数や総ページ数が多い
- 閲覧時間が長い
- SNSなどに多く拡散されている
- 多くの優良サイトからリンクを貼られている
- スマートフォン用に最適化されている
- 「https://」対応をしている
- コンテンツの質が高い
- ページがAMP化されていて、モバイルページが高速表示される
MEO対策では、検索エンジンのマップ検索エリアで上位表示を目指します。以下の対策を実行しましょう。
- クリニック情報の充実
- 掲載画像を増やす
- 情報発信の頻度をアップ
- リンクするホームページのSEOを強化
- クチコミ数と評価をアップ
比較
比較は、4つ目のステップで「受診するクリニックを比較すること」です。ここでは、口コミ対策が効果的です。
自院の口コミを調べて、評判をチェックしましょう。良い口コミは、SNSなどを活用してコツコツと増やすことが大切です。また、悪い口コミに対しては真摯に対応すると共に、悪意が明確なものは削除要請で風評被害を防ぎましょう。
検討
検討は、5つ目のステップで「クリニックを詳細に検討すること」です。検討している患者さんには、問い合わせ段階でのオフライン対策をしっかり行いましょう。
電話・メール・問い合わせフォームを利用する患者さんはすでに「検討」のプロセスまで来ているので、ここでの対応が非常に重要です。
「感じが悪い」という印象を与えないように、丁寧な対応を心がけましょう。
マーケティング戦略は定期的な見直しが大切
マーケティング戦略では、定期的な見直しが必要です。開業後の状況変化に合わせてプロモーション戦略や環境分析などをやり直すことで、より安定したクリニック経営ができます。
実際に、私はある程度クリニックの認知度が高まったら一部の看板を取りやめ、道案内の役割を果たすもののみを残しました。
こうすることで、患者さんのスムーズな来院に役立てるという目的に絞り、効率的なプロモーション戦略に変更することができました。
また、競合や社会情勢は目まぐるしく変化するので定期的に分析し直すことで患者さんのニーズに合ったクリニック経営ができるでしょう。
このように、経営者はクリニックの成長に合わせてマーケティング戦略も成長させるようにしましょう。
まとめ
本記事では、リピート率向上に役立つマーケティングのやり方を紹介しました。
丁寧な市場調査や患者さんのニーズに合った施策は、新規患者だけでなくリピート患者増加にも効果的な方法です。
クリニックの集患に悩んでいる方は、まずマーケティングについて学び始めることをおすすめします。