クリニック運営者の中には、上記のようなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
クリニックで出る廃棄物の中には、処理の仕方に注意が必要なものがあるため、正しく処分できているか不安になりやすいものです。
そこでこの記事では、クリニックで出る「機密文書」「産業廃棄物」の処理方法についてご紹介します。
機密文書と産業廃棄物は、処分する方法が法律で定められているため処分の際は注意が必要です。
また、さまざまな廃棄物の中でも処分方法に迷いやすい、個人情報・消耗品・備品の処分方法についてもご紹介します。
当院でおこなっている処分方法もご紹介しますので、この記事を読めばクリニックで出る廃棄物の処分方法に迷わないはず。
現在、廃棄物の処分についてお困りの方はぜひ最後までご覧ください。
クリニックで出る廃棄物の分類について
クリニックで出る廃棄物の中には、
- 個人情報が記載されている物
- 感染症廃棄物
など、取り扱いに注意が必要なものがたくさんあります。
そして、上記の廃棄物は法に基づいて正しく分類し、適切に処分しなければなりません。
廃棄物ごとに処分の方法が定められているので、正しく分類しましょう。
クリニックで出る廃棄物の分類は以下の通りです。
- 前提として【廃棄物】は以下の2種類に分けられる。 一般廃棄物 /産業廃棄物
- 医療行為で発生するもの:一般的に「医療廃棄物」と呼ばれる
- 事務作業で発生するもの:一般的に「事務系一般廃棄物」と呼ばれる
- さらに、感染リスクに応じて以下の2種類に分けられる 感染性廃棄物/非感染性廃棄物
上記を表にまとめると、クリニックで出る廃棄物は次の表(※表1)のように分類できます。
▼※表1
医療廃棄物 |
感染性廃棄物 |
産業廃棄物 |
非感染性廃棄物 |
産業廃棄物、一般廃棄物 |
|
事務系廃棄物 |
非感染性廃棄物 |
産業廃棄物、一般廃棄物 |
上記の分類を理解し、それぞれの廃棄物の分類を特定して正しく処分しましょう。
機密文書と産業廃棄物
では、この記事のタイトルにもある、取り扱いに注意が必要な「機密文書」と「産業廃棄物」の定義を確認しておきましょう。
- 機密文書とは
- 産業廃棄物とは
順番にご紹介します。
1.機密文書とは
機密文書とは「関係者以外に公表してはならない極めて重要な文書」のこと。
先にご紹介した分類表(※表1)を見てみると、事務作業によって出る機密文書は事務系廃棄物であり、非感染性廃棄物の一般廃棄物として分類されます。
しかし、一般廃棄物とはいえ機密文書には機密事項が書いてあるものです。情報漏洩には細心の注意を払って処分ましょう。
2.産業廃棄物とは
産業廃棄物とは「事業活動に伴う廃棄物のうち、廃棄処理法により定められた20種類の廃棄物」のこと。
そして、医療関係機関で発生する「注射針」「血液」「レントゲン定着液」などは、廃棄処理法により定められた20種類のうち次の項目に該当します。
- 注射針:金属くず
- 血液:廃アルカリ又は汚泥
- レントゲン定着液:廃酸
中でも感染性廃棄物は特別管理廃棄物として分類され、適切な処理が求められます。
当院の処分方法をご紹介
それでは、当院でおこなっている廃棄物の処分方法をご紹介します。
ご紹介する内容は次の3点です。
- 個人情報
- 消耗品
- 備品
1つずつ順番に見てみましょう。
個人情報の処分方法
個人情報は機密文書にあたるため大変慎重に扱い、不要になったものはすべて「溶解処分」しています。
たとえば「指示せん」。当院は電子カルテですが、完全なペーパーレスではなく、患者さんが来院する都度、検査内容や禁忌薬等の特記事項が記載されたA4サイズの「指示せん」が印刷されます。
そして指示せん使用後は、患者さんの名前などの個人情報部分は切り取り、切り取った部分は溶解処分用の段ボールに入れています。
ちなみに、機密情報の処分方法として「シュレッダー破棄」「焼却処分」「溶解処分」のどれかが検討されますが、溶解処分をおすすめします。
シュレッダー破棄は、機械を購入すれば自分たちで処理できる手軽さが魅力ですが、細かくカットされていてもつなぎ合わせれば復元可能です。また、患者数に比例して作業量も増えるので人件費が掛かります。
焼却処分は他の廃棄物とともに焼却されるため、機密情報管理の意識が低い業者が多いと言われています。
つまり、シュレッダー破棄や焼却処分は情報漏洩のリスクが懸念されるわけです。
ただし、溶解処分をする際は実績を持った業者を選ぶことが大切です。業者によってセキュリティのレベルが異なるため確認しておきましょう。
消耗品の処分方法
消耗品とは「10万円未満もしくは耐用年数が1年未満のもの」のこと。消耗品は一般ゴミとして捨てられるものがほとんどです。
当院では、消耗品を以下のように処分しています。
- 患者さんやスタッフが使用したペーパータオル
- 使い終わったボールペンやマジック
- 診察時のふき綿や綿棒 など
- 玄関マット
- モップ など
- 感染の疑いがある患者さんに使用したふき綿や綿棒
- 感染の疑いがある患者さんが着席されたイスの消毒に使用したペーパータオル
- 注射針 など
特に、感染症廃棄物は県が指定の業者に廃棄を依頼するよう義務付けられていますので、必ず指定の業者に処分を依頼しましょう。
備品の処分方法
備品とは「10万円以上20万円未満で耐用年数が1年以上のもの」のこと。
当院が備品の中で処分方法に注意しているものは次の2つです。
- パソコン
- 医療機器
パソコンには患者情報などの機密情報が記録されているため、処分には注意が必要です。
そして医療機器は機器によって処分方法が異なります。また、購入業者が所有者登録をしていることもあるため必ず購入業者に問い合わせてから処分しましょう。
規則を守って正しく処分しよう
この記事では、クリニックで出る機密文書と産業廃棄物の処理についてご紹介しました。
情報漏洩や感染を防ぐためにも正しい処分方法を知っておくことは大切です。
また機密文書も産業廃棄物も、処分方法が法律で定められているため、処分の際は処分方法を必ず守りましょう。
今後処分する際は、この記事でご紹介した内容をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。