「電子カルテメーカーを他社に乗り換えたい・・・」「メーカーを乗り換える際に注意すべき点を知っておきたい・・」このような悩みや疑問をお持ちではありませんか?
もし何かしらの理由によって電子カルテメーカーを乗り換える場合、新しいメーカーのシステムに慣れるまで時間も掛かるため、運用が軌道に乗るまでのことを考えて検討する必要があります。
安易に電子カルテメーカーを乗り換えてしまうと、導入後にサポートを受けられなかったり、データ移行が上手くできなかったりといった問題・トラブルが発生する可能性もあります。
当院では過去に3度電子カルテの入替えを行いました。なぜ複数回に分けたかというと、通常の診療をしながら一気に電子カルテを行った場合、現場に混乱を招く恐れがあったためです。
費用・期間は掛りましたが、あえて複数回に分けて慎重に移行を進めたおかげで、現在は完全デジタル化に対応できています。
今回は当院の経験を踏まえて、電子カルテメーカーを乗り換える際に気をつけたいポイントを紹介します。電子カルテメーカーの変更をご検討中の方はぜひ参考になさってください!
現在の電子カルテの契約内容を確認する
日経メディカルOnlineの調査データによれば、電子カルテ切り替えのタイミングとして最も多いのが、「電子カルテの契約更新タイミング(45%)」となっています。
契約更新タイミングを知るには、現在お使いになられている電子カルテの契約内容を確認する必要があります。
契約書には、契約期間、途中解約時の違約金の有無および金額などが記載されています。契約期間内に解約してしまうと費用が発生するため、契約更新時を狙うのがおすすめです。
しかしながら、どうしても現在使っている電子カルテでは使いづらいといった場合や、他社の製品に魅力を感じている場合などは、契約更新タイミングにかかわらず乗り換えを検討すべきでしょう。
同調査データによれば、「タイミングよりも他社製品に魅力を感じたから」という理由も27%ほどであることがわかります。つまり、自院にとっていつ乗り換えるのがベストタイミングであるかは総合的な判断が必要です。
新電子カルテへのデータ移行は可能か
電子カルテには患者さんのさまざまな情報・データが蓄積されています。しかし、電子カルテ内に保存されたデータは、各電子カルテで共通化されているわけではありません。
同じメーカーの電子カルテであればツール間で互換性がある場合が多いですが、異なるメーカーの場合は互換性がない場合もあります。そのため、旧電子カルテに保存されている患者さんの情報・データを新しい電子カルテに移行できるかどうかはあらかじめ確認が必要です。
ツール間の互換性がない場合は、旧電子カルテからデータを取り出し、新電子カルテへのデータ移行作業が別途必要であるため、労力・費用が掛かります。
電子カルテの乗り換えを検討する際は、
- 旧電子カルテのデータ抽出方法
- 新電子カルテのデータ取込方法
- データ移行に掛かる費用の見積り
これらを確認することをおすすめします。
必要な機能が備わっているか確認する
現在、電子カルテに切り替えを検討している理由として、「自院の業務効率を高めたい」と考える方が多いのではないでしょうか。実際に、日経メディカルのアンケートによれば、電子カルテを切り替えた理由として最も多いのが、「機能不足・不満(44%)」です。
電子カルテを乗り換え時に気をつけるポイントとして、自院に必要な機能が備わっているか確認することが大切です。当然、診療科目やクリニックの規模によっても必要な機能は異なります。自院にとってどういった機能があれば良いか、あらかじめリサーチしましょう。
たとえば、電子カルテの展示会に行くことで最新技術に触れることができます。きっと「電子カルテでこんなこともできるのか!」と驚くはずです。また他の医院に見学に行くことで、導入イメージを持てるようになりますし、使い勝手や感想も含めてアドバイスをもらうこともできます。
ただし、今まで使っていた電子カルテにあった機能が、新しい電子カルテには備わっていない場合もありますので注意が必要です。機能が異なれば、それに合わせて運営オペレーションもすべて見直す必要があります。
電子カルテの乗り換えを検討する際は、今まで使っていた旧システムの機能を一度すべて洗い出し、必要な機能の優先順位をつけながら検討することをおすすめします。
他の医事システムと連携できるか確認する
他のシステムを連携できるかどうかも、電子カルテ選びにおいて非常に重要なポイントです。たとえば、オンライン予約システムや医療機器など、現在使用しているシステム・機器と連携できるかどうかを確認しましょう。
電子カルテと医事システムとの互換性に関する内容はこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
電子カルテ選びは、業務の問題点・現システムとの互換性・導入後の利便性で決める【予約システム・医療機器】
一定期間は新旧電子カルテを併用する
電子カルテの乗り換えは一気に行うのではなく、業務への影響を鑑みて、負担を最小限に抑えながら徐々に移行していくことをおすすめします。新しいシステムの導入当初は、スタッフも操作に不慣れですし、想定外のトラブルが発生する可能性もないとは限りません。
特に患者さんに迷惑を掛けることは避けなければなりませんので、慣れるまでは旧電子カルテの併用をしながら、業務に支障がないようにしましょう。たとえば、新しい電子カルテに切り替えた月のレセプト請求は旧機種を使って行う必要があります。なぜなら、先月分のデータはすべて旧電子カルテに入力されているためです。
また、過去の申請分について確認が必要な場合など、旧電子カルテの操作が必要になる場合もあります。そのため、一定期間は新旧システムを併用し徐々に移管すると良いでしょう。
そして新しい電子カルテの使い方をマスターするために、メーカーのサポートも必要です。
ただしメーカーによってサポート体制も異なるため、どこまでの対応をしてくれるのか、どれくらいの費用が掛かるのかも含めて事前に相談することをおすすめします。
まとめ|電子カルテの乗り換えは慎重に行いましょう
電子カルテはクリニックの中枢を担うシステムだからこそ、乗り換えは慎重に行うようにしましょう。たとえば、今使っている電子カルテの契約更新タイミングが近づいていたとしても、その期間までに無理に切り替える必要はありません。
無理に新しい電子カルテに乗り換えたところで、機能が不十分であったり使い勝手が悪いシステムであったりしては本末転倒です。
そのため事前のリサーチや比較検討には十分に時間を掛ける方が得策です。当院のように、3度に分けて徐々に電子化を進めた例もありますので、本記事の内容を参考に慎重に検討してみてください。
今回の内容があなたのクリニックの成長にお役に立てば幸いです。