開業医の妻の給料をできるだけ経費にして節税をしたいと考えていませんか?
しかし、妻の給料を経費として落とすための要件や適正額が分からず上手く節税できない方も多いのではないでしょうか。いくつかのポイントを意識して妻に適正額を支給することで経費として落とすことができ、節税につながります。
そこで本記事では、開業医妻の給料を経費にするためのポイントや計算方法を紹介します。
また、これ以外の節税方法も紹介していますので開業医でなるべく節税したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
開業医妻の給料の相場
開業医妻の給料の相場は、個人事業の場合「400~600万円」程度です。妻の給料を経費にするためには適正な額を支給しておく必要があります。
過分に支払った場合は経費として認められないだけでなく、追徴税や贈与税が余計にかかることがあるので注意しましょう。
妻に支払う給料はドクターとして働いている場合は1000万円、受付スタッフであれば300万円など業務内容によって大きく異なるので仕事内容にあわせて適当な金額を支払うことが大切です。
開業医妻の給料の計算方法
妻の給料を計算するときは、「仕事内容分の給与」を日数にあわせて増減させるのが基本になります。
仕事内容分の給与は、以下の職種別民間給与実態調査を参考にしてください。
職種名 | 支給する給与(円) |
病院長 | 1,751,788 |
副院長 | 1,459,988 |
医科長 | 1,268,834 |
医師 | 973,203 |
歯科医師 | 753,302 |
薬局長 | 503,863 |
薬剤師 | 368,365 |
診療放射線技師 | 390,485 |
臨床検査技師 | 350,499 |
栄養士 | 282,303 |
理学療法士 | 302,021 |
作業療法士 | 289,111 |
総看護師長 | 539,846 |
看護師長 | 431,007 |
看護師 | 359,618 |
准看護師 | 303,451 |
参考:政府統計の総合窓口より
例えば妻が「看護師+経理」を担当する場合、まず表から看護師分の給料は36万円だと分かります。
この表にはない事務や受付スタッフなどの仕事はそれぞれの相場を調べましょう。経理の事務は15万円が相場だったので、「36万+15万」で月51万円支払えることになります。
ただし、これは週5日勤務した場合の金額なので、週2. 3日など出勤日数が少ない場合はその分減額が必要です。
また、妻の仕事はこのほかにも医院経営や理事、医師の場合診察など多岐にわたるので、妻の仕事内容にあわせてしっかりと計算しましょう。
開業医妻の給料が経費となる要件
経費にするためには妻の給料を青色事業専従者給与として認められる必要があります。青色事業専従者給与に認められるためには、以下の条件をクリアしていなければいけません。
イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
ハ その年を通じて6ヶ月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。引用:国税庁より
これらに該当している方は「青色事業専従者給与に関する届出書」を算入する年の3月15日までに各納税地に提出しましょう。
専従者給与の注意点
専従者給与は、クリニック業務を主な業務にしていなければ経費として認められないことに注意しましょう。
つまり、妻がクリニック業務の他に本業がある場合は、基本的に青色専従者給与とはみなされません。
開業医妻の給料が適正額か判断するポイント
妻への支給額を決めたあと給料が適正か判断するポイントは、次の3つです。
- 勤務時間や仕事内容に見合っているか
- 相場と同程度になっているか
- 支払い能力に見合っているか
1と2については、職種別民間給与実態調査から妻の給料を出し、勤務時間に合わせて増減させることでクリアすることができます。
3の「支払い能力」はクリニックの規模や収益の状況からかけ離れていなければ問題ありません。
妻の給料は、一般的な支給額を大幅に超えない限りは適正額とみなされるでしょう。
経費申請の方法
妻の給料は、「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」を提出することで経費にすることができます。
経費申請の詳細は以下のようになっています。
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書詳細 | |
提出書類 |
届出書 |
提出方法 | 届出書を作成のうえ、持参又は送付により提出 |
提出期間 | 必要経費に算入しようとする年の3月15日までに提出 |
提出先 | 納税地を所轄する税務署長 |
参考:国税庁より
妻の専従者給与以外の節税方法
開業医の節税方法は複数あるので、できるだけ節税をしたい方は確認しておきましょう。専従者給与以外に次の2つの方法が考えられます。
- 経費を細かく計上する
- 医療法人化する
それぞれのメリットやデメリットを解説していきます。
経費を細かく計上する
経費となるものを理解し、漏れなく計上することが大きな節税につながります。
経費にできるか判断するポイントは、「クリニック業務との関連性」と「妥当な金額かどうか」です。
業務との関わりを税務署署員にしっかりと説明できるものであれば経費計上して問題ありません。そのため、学会や講習会の交通費はもちろん、スタッフの研修旅行や情報交換のための飲み会なども経費として認められる可能性があります。
経費の計上は誰でもできるのがメリットです。ただし、出費はかかっていることには変わらず、節税効果はそこまで大きくありません。
医療法人化する
医療法人化も開業医の節税におすすめです。通常、個人の税率は所得額増加と比例して高くなりますが、医療法人税はほとんど変わりません。
そのため、大きな節税効果が期待できます。また、給与所得控除を受けられたり退職金の支給ができたりするなど、メリットがあります。
ただデメリットになる部分もあり、法人化と個人事業主のどちらが良いかは、結局のところそれぞれの経営形態によると言わざるを得ません。
医療法人化について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
本記事では、開業医妻の給料を経費にするための要件や計算方法を紹介しました。
専従者給与はもちろん、その他の節税方法も理解しておくことで、自分のクリニックに合った節税のやり方を見つけることができます。