あなたはクリニックの患者さんを増やしたいとお悩みではないでしょうか。
本記事で紹介する「病診連携」は患者さんの「かかりつけ医」になることで患者さんとの信頼関係を築き、リピーター患者さんを増やすことにつながります。
この記事を読むことで、病診連携の効果的な構築方法がわかり、リピーター患者さんを増やして医院の経営を安定させることが期待できます。
作者プロフィール:鈴木恵子
夫のクリニック開業を機に、知識ゼロのまま事務長に就任、クリニック経営は18年目に突入。
独自の経営手法で、年間2万3千人以上の患者さんを受け入れる人気クリニックへを作り上げ、書籍も発行。
新卒社員の離職率過去3年ゼロ、育児休暇後の復帰率100%と、患者さんにもスタッフにも愛されるクリニック経営を実践中。
病診連携とは
病診連携等とは、地域の「クリニック」と「病院」の連携により機能分担を明確にし、スムーズな医療を提供するものです。
日ごろの健康管理や発病の初期症状は「クリニック」で、専門的な検査や手術など入院治療が必要な場合は「病院」で対応します。
役割分担により「クリニック」と「病院」がスリム化され、状況に応じた医療をスムーズに提供することができます。
このように病診連携が整ったクリニックは、患者さんが一番に相談できる「かかりつけ医」の存在となり、何度も来院いただける患者さんを獲得することができます。
この記事で言う
「病院」とは、地方病院などの基幹病院、大学病院、がんセンターなど、高次の病院を意味します。
「クリニック」とは、私たちのように独立開業した個人経営の医院を指します。
病診連携によりリピーターが増える理由
病診連携によりリピーター患者さんが増える理由は、患者さんへ提供できる医療サービスの質が向上するからです。
患者さんだけでなく、病院側にも様々なメリットがありますので、詳しくお伝えしていきます。
患者さん側のメリット
まずは患者さんにとってのメリットを見ていきましょう。
患者さんのメリットとしては以下の4つです。
- 待ち時間が緩和される
- 紹介状により総合病院の選定療養費がかからない
- 症状に応じた適切な医療が受けられる
- 初期の段階で疾患を見つけやすくなる
待ち時間が緩和される
病診連携の整ったクリニックでは、手術や専門的な検査など、時間がかかる処置は病院に任せています。
その分、定期の検診や初期症状のケアに力を注げるため、患者さんの待ち時間を緩和することができます。
紹介状により総合病院の選定療養費がかからない
病院は紹介状を持たずに受診すると、選定医療費がかかってしまいます。
病院は連携しているクリニックから重症患者さんを受け入れているため、外来患者さんを受け入れる余裕が少ないためです。
しかし、クリニックによる紹介状があれば選定医療費がかかりません。
クリニックで基本的な診断を受けたことにより、病院での受診の妥当性が証明できるからです。
症状に応じた適切な医療が受けられる
病診連携によりクリニックと総合病院の機能が分担されたことで、クリニックも病院も各自の分野に注力することができます。
役割分担により、余分な部分にかけていた力を専門分野に集中できるので、提供する医療の質も上がってきます。
初期の段階で疾患を見つけやすくなる
病診連携により、どんな症状でもクリニックを窓口に対応してもらえることが患者さんに認知されると、気軽に診療を受けに来てくれるようになります。
大きな病院ではちょっとしたことで受診するのは気が引けたりするものですが、地域のクリニックでは気軽に受診ができます。
もし仮に大きな疾患につながる場合でも、クリニックから総合病院へつないでくれるので安心です。
このように些細なことでも医院へ受診いただければ、疾患の初期の段階での発見が可能となり、症状の悪化を防ぐことにつながります。
クリニック側のメリット
クリニック側のメリットにも注目してみましょう。
メリットとして以下の3点が挙げられます。
- 自分の専門外の領域でも心強く対応できる
- 紹介した患者さんの情報が確実にフィードバックされる
- 自院にない先端医療機器の検査結果が得られる
自分の専門外の領域でも心強く対応できる
どの医師も自分の専門の領域を持っています。
しかし来院される患者さんの症状は実に千差万別で、自分の専門外の症状についても対応しなければなりません。
この際、病診連携の体制を整えていれば、その分野を専門にしている病院を紹介できるので、大変心強いのです。
治療法まで解らずとも対応できる専門家とのパイプがあるだけで、自信を持って患者さんの診断にあたれます。
紹介した患者さんの情報が確実にフィードバックされる
病院へ患者さんを紹介した場合、当該患者さんの治療情報が確実にフィードバックされます。
その情報は、その後の経過観察等をクリニックで行う場合に大変重要になります。
クリニックと病院間での情報に齟齬が生じていると、患者さんは不安に感じてしまうため、病診連携を整えて患者さんの情報が確実にフィードバックされる体制を作ることが大切です。
自院にない先端医療機器の検査結果が得られる
病診連携により、自分の医院にない最先端の医療機器での検査結果を知ることができます。
先端医療の知識を持つことは医師のスキルを高める上で非常に大切なことです。
患者さんの検査結果を外部からもらうことはプライバシー保護の観点からできないのですが、病診連携の場合は可能です。
病診連携により最先端の医療機器のデータを手に入れることができるのです。
病診連携構築のポイント
ここまで病診連携のメリットをご説明しました。
ではどのようにすれば病診連携は効果的に構築できるのでしょうか。
本章では、病診連携を構築する上で大切なポイント4つを紹介していきます。
関連分野の権威のいる病院と提携する
ある分野について権威となっている医師のいる病院と連携できれば、重い症状の場合でも患者さんは安心です。
権威の医師は、その医師の治療を希望して遠方から治療にくる患者さんも少なくありません。
その権威の医師の受け入れ口となることで、多くの来院が見込めます。
また権威の医師と頻繁に連携することで、自分自身の医療のスキルも向上させることができます。
患者さんにとって最適な病院へ紹介する
自院で対応するか、他院にお願いするかの判断は患者さんを軸にどちらが最適であるかを基準とします。
患者さんを手放したくない気持ちから、自分の所でいつまでも患者さんを抱えてしまうようなことがあっては絶対なりません。
これでは患者さんは適正な医療を受ける機会を失って、病状が悪化することがあります。
クリニック本位ではなく患者さん本位で考えることが、連携先の病院に信頼をされ、結果として多くの患者さんに来院いただけるクリニックになる秘訣です。
個人的な繋がりを持つ
連携している病院の医師やスタッフの方々と個人的にお付き合いすることも大切です。
医院やスタッフがお互いをよく理解することで、診療における相談や緊急時、どうしてもその患者さんを診てもらいたいときなど融通をしあえる関係を築けます。
外部と積極的に交流する
病診連携を築くには、外部機関と積極的に交流しなくてはなりません。
おすすめの場として
- 学会
- 集団会
- 医師会
などがあります。
医局の先生や近隣の大学病院の先生とは、学会や集団会を通じて知り合いになるチャンスがあります。
首都圏や他県の大学病院の先生とは学会や集団会等に参加し、その先生の講義で質問等を積極的にすることでお知り合いになれることがあります。
また近隣の開業医や病院の先生と仲良くなるのには、医師会に入会するのが効果的です。
医師会は地域の患者さんを相互に紹介し合えるので、他科の先生とも積極的に交流することをお勧めします。
病診連携の効果を上げる患者さんとの付き合い方
最後に病診連携の効果をさらに上げるための患者さんとのお付き合いの仕方について説明します。
病診連携の目的を理解してもらう
病診連携の目的を患者さんが理解していないと、病院をたらい回しにさせられている印象を持たれてしまう恐れがあります。
と、医療スキルを疑われてしまうこともあるかもしれません。
決してそんなことはなく、トータルで考えた場合、患者さんに最も適した医療サービスを行うための役割分担であることをしっかりと理解してもらいましょう。
病気の予防、早期発見の重要性を説明する
忙しい毎日を送る現代の人は、時間を診療に使いたがらず、異変を感じてもなかなか病院にいらっしゃらない方がいます。
そのせいで病気が進行し、結果的に長期の治療が必要になってしまう患者さんも少なくありません。
実際は定期的に診療して病気を予防、あるいは早期治療することが一番時間を節約できることを、患者さんに理解してもらいましょう。
医療機器の設備投資は適宜行う
基幹病院や大学病院の医療設備だけに頼らず、新しい医療機器は積極的に投資をすることも大切だと考えます。
詳しいデータを添えて患者さんを紹介することは紹介先の病院からの信用を得ることができるからです。
紹介先の病院にあるから設備投資を消極的にするのではなく、医療に対する姿勢を患者さんや関連病院に示すことも抑えておきたいポイントです。
特に眼科においては、画像系の医療機器の発達は著しく、新しい医療機器は細部まで撮影が可能で、鮮明であるため正確な診断につながります。
クリニックで予め診断をした上で紹介することができると紹介先での信頼関係を築くことができ患者さんも安心することができます。
まとめ
本記事では病診連携についてご説明しました。
- 病診連携によりクリニックの役割を絞り、特化することで患者さんの満足度を上げる
- 有効な病診連携の構築には交流の場への積極参加が重要
- 病診連携の目的・重要性を患者さんにしっかり理解してもらうことが大切
当ブログでは病診連携の他にも、クリニックの経営を安定させる集患戦略を紹介しています。ぜひ参考にしてください。