開業を考えている勤務医の夫を持つ女性やの中には、上記のような不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
開業すると今までの生活が大きく変わるため、不安になりますよね。
私は、もともと勤務医として働いていた夫と結婚しました。しかし、結婚14年目に夫が突然開業。夫とともに開業した苦労を味わっています。
この記事では、クリニック開業を経験したからこそわかる、開業医の妻の苦労6つとその対処法をお伝えします。
事前に開業医の妻が抱えた苦労と対処法を知っておけば、大変な思いをすることも減るはずです。
現在、夫がクリニック開業を考えていることに不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
開業医との結婚生活は忙しい
開業医との結婚生活は、比較的忙しいです。
開業すると夫が病院の院長となるわけですから、夫は仕事で多忙です。
それに伴い、妻である私は家庭だけでなく、事務長として仕事面でも夫のサポートする必要がありました。専業主婦から、経営者へと立場が一変したのです。
生活の詳細については後述しますが、当時7歳と10歳のこどもを見ながら慣れない開業の手続きをおこない、夫のサポートもするのはとても忙しく、大変でした。
しかし、現在は子どもたちも大きくなり、趣味や仕事に励む充実した日々を送っています。
開業医との結婚生活は忙しく、大変なこともありますが、壁を乗り越えれば豊かで充実した生活が待っています。
開業医との結婚生活における6つの苦労と対処法
私がこれまでの生活で感じた、開業医との結婚生活における苦労は以下の6つです。
- 多忙な夫のサポート
- 1人でこなす家事・子育て
- 家庭とクリニック経営の両立
- 経営者としてのお金の使い方
- 院長夫人としての人付き合い
- 雇用主としての責任に慣れること
それぞれの対処法と合わせて、順番にご紹介しますね。
1.多忙な夫のサポート
1つ目の苦労は、多忙な夫のサポートです。
先にも述べた通り、開業医は忙しいです。そのため、妻はあらゆる面で夫をサポートしなくてはなりません。
まずは夫の食事作り。私の自宅はクリニックの上にあるため、昼食は自宅でとっています。
勤務医だった頃は、夫が自分で食事を用意することもできました。しかし、開業医になると食事を用意する暇がほとんどありません。
また、健康面を考えれば、栄養バランスにも気を付けた食事をしてもらいたいので、夫の食事作りは最優先で行っています。
そして、仕事上のパートナーとして夫のサポートもおこなっています。
私の場合、夫は開業1ヶ月前まで勤務医でしたので、夫に代わって以下のような開業準備を進めました。
- 土地探し
- 金融機関とのやりとり
- 設計打ち合わせ
- 建築
- 役所申請 など
そして、開業後は事務長として夫をサポートし続けています。
初めは慣れないことも多く大変でしたが、夫の忙しさを理解していたので頑張れました。
開業医の妻は、夫の忙しさを理解することが大切だと思います。
また、初めての経験だらけで、いっきに世界観が広がりました。新たな経験を楽しむ意識も大切かもしれません。
2.1人でこなす家事・子育て
2つ目の苦労は、家事・子育てについてです。
開業医は忙しく、家庭のことは妻に任せきりになってしまうケースが多いようです。
夫が勤務医だった頃は、私は専業主婦でしたので家事・子育てに集中できましたが、開業後は夫をサポートしながら家事と子育てをおこなっていました。
しかし、仕事をしながら1人で家事・子育てをおこなうのはとても大変です。
そこで、私は以下のような工夫をして自分の負担を減らしました。
- 子どものお世話をご近所さんにお願いする
- 年に一度の大掃除は家事代行サービス利用する
- 全てを完璧にこなそうとせず、上手に手を抜く
特に、開業後は慣れない仕事だらけですので、自分のことで手一杯。家事・子育てに関してはどうしても手が回らない部分が出てきます。
そのため、実家や近所に子育て支援サービスなどがあれば、できるだけ頼ることをおすすめします。
また、家事を自分の手で完璧にこなす意識を持たないことも大切。せめて年に一度くらいは家事代行サービスに頼ると気が楽になるのでおすすめです。
3.家庭とクリニック経営の両立
3つ目の苦労は、家庭とクリニック経営の両立です。
クリニック開業後、それまで家族中心だった生活が、経営にも時間を割かなければいけなくなりました。
そこで、私が家庭とクリニック経営を両立させるために工夫したことは以下の3つです。
- 食材宅配サービスを利用して、買い物の時間を減らす
- 子どもにお手伝いをしてもらう
- 床掃除は自動掃除機に任せる
また、育児に関しては次のような工夫をしていました。
- なんでも自分でやってもらう(学校の支度や歯医者の予約でも)
- 習い事は自分で行く(基本送り迎えはしない)
家庭とクリニック経営を両立させるには、自分でできる工夫も大切ですが、こどもに家事を手伝ってもらう、なんでも自分でやってもらうなど、家族の協力も大切です。
ちなみに、子どもがある程度大きくなった時、私はオンライン大学に入学しています。
当時は「育児」「家事」「経営」に加え「勉強」もしていましたが、前述の通り家族がクリニックの経営に協力してくれたので、すべての両立ができました。
4.経営者としてのお金の使い方
4つ目の苦労は、経営者としてのお金の使い方に慣れることです。
クリニック開業前、お金の使い道は主に家族でしたが、開業後はスタッフの管理や経費など使用範囲が広がり、また使う金額も大きくなりました。
初めの頃は経営者としてのお金の使い方に慣れておらず、設備投資や広告費、福利厚生費などの毎月の支払いの用意、決算後の納税金額に、言葉が出なくなるほど驚いたこともあります。
このままではいけないと感じた私は、以下の工夫をおこないました。
- 法人を設立してお金の管理を楽に
- キャッシュフローの考え方を身につける
法人を設立すると、家計とクリニックの売り上げは明確に区分されます。よって法人設立後、お金の管理はとても楽になりました。
また、経営者にとって、クリニックの資金の流れを把握するキャッシュフローの考え方はとても大切。
今の私は経営開始から16年が経過し、みる目が養われたのでキャッシュフローの予想がつくようになり慌てることが少なくなりました。
5.院長夫人としての人付き合い
5つ目の苦労は、院長夫人としての人付き合いです。
夫が勤務医だった頃は、人付き合いといってもご近所さんや友人くらい。医療関係者との人付き合いを意識したことはほとんどありませんでした。
一方、開業するとさまざまな医療関係者と関わる機会が多くなります。
しかし開業から16年が経過した今は、クリニックの宣伝をするような活動はしていません。
その代わりに、
- お付き合いのある方や近所の方、患者さんへの挨拶は必ずきちんとする
- 患者さんや知り合いからいただき物をしたときには必ず手書きの礼状を送る
など、日頃から周囲の方へ敬意を払い、誠実であることを心がけています。
これは私の持論ですが、患者さんや他の医療関係者の方との信頼関係を築く上で、無理なアピールは必要ないと思っています。人に対して「誠実」であることが何よりも大切です。
「開業医の妻として、人間関係の構築を頑張らなきゃ…」と焦る必要はないでしょう。
6.雇用主としての責任に慣れること
6つ目の苦労は、雇用主としての責任に慣れることです。
しかし、開業したからには雇用主としての責任を果たさなければなりません。
まずは正直に、私自身が事務長の仕事は初めてで雇用に関する知識が浅いことを、クリニックで働くスタッフたちに伝えました。
同時に、私の経験や知識が浅いことでスタッフたちが不安にならないよう、
- 雇用関係については、顧問の税理士・社労士のサポート体制があること
- スタッフからの雇用関係の質問には、社労士や税理士に問い合わせ、できるだけ速やかに返答すること
この2点も伝えました。
そして、スタッフの質問に真摯に対応することで、スタッフからの信頼を得ることができたようです。
できるだけ早く雇用主としての責任に慣れるには、スタッフを大切にし、スタッフのことを親身になって考え、お互いの関係性を良好に保つことも大切だと考えています。
開業医との結婚生活をより良いものにするポイント2つ
次に、開業後の生活をより良いものにするポイントを2つご紹介します。
私が考える開業医との結婚生活をより良いものにするポイントは、以下の2点です。
- 日々の忙しさを理解し、家族で協力し合う
- 開業医の妻の苦労を知っておく
開業医との結婚生活に苦労があることは事実ですが、ご紹介するポイントを抑えることでより豊かな生活を送れるでしょう。
では1つずつご紹介しますね。
1.日々の忙しさを理解し、家族で協力し合う
開業医との結婚生活をより良いものにするポイントの1つ目は、日々の忙しさを理解しておくことです。
勤務医から開業医になると、夫はさらに仕事に忙しくなります。同時に、妻の生活も慌ただしいものになるでしょう。
そして、小さな子どもがいる家庭では、子どもにも影響があるかもしれません。
私の夫は勤務医時代、眼科の1人医長だったため、代わりの医師がおらず平日休暇をとるのは難しかったようですが、土日祝日は比較的休暇を取れていました。
しかし、開業してからは土曜日も半日仕事があるので、子どもの学校行事などに参加できていません。
日々の生活は忙しく、時間に余裕がないことを知らずに開業してしまうと、開業前の生活とのギャップを埋めるのに苦労すると思います。
あらかじめ、あまり時間に余裕を持てないこと理解し、家族で協力し合えるよう相談するなどしておくと、開業後の生活がより良いものになるでしょう。
2.開業医の妻の苦労を知っておく
開業医との結婚生活をより良いものにするポイントの2つ目は、開業医の妻の苦労を知っておくことです。
これまでご紹介した通り、夫のサポートや家庭と経営の両立など、開業医の妻にはそれなりの苦労があります。
中には、開業に向けてまったく準備をしておらず、急に医療事務や簿記の資格を取らなければならなくなり、大変苦労したという方もいらっしゃるようです。
開業医の妻の苦労とその対処法を知っておくことで心構えができますし、子育てや仕事について夫と相談する、余裕を持って勉強するなどの準備ができるはず。
開業後は慌ただしい生活が待っているかもしれませんが、できるだけ理想の生活を叶えられるよう対策しておくといいでしょう。
院長夫人におすすめ「事務長」の仕事
私は、開業医の妻である院長夫人には「事務長」として働くことをおすすめしています。
実際、私は開業と同時にクリニックの事務長として16年間働いてきました。
そのなかで、院長夫人が事務長として働くことは、自分自身や夫、そしてクリニックにとってさまざまなメリットがあると感じています。
例えば、
- 経営者かつ妻として、院長の1番の理解者になれる
- 妻が経営者であることは院長にとって大きな安心感につながり、診療に専念しやすくなる
- 事務長はクリニックの実情を把握できるため、スタッフが働きやすい環境を整えられる
など。
中には、「開業医の妻は経理や雑務で院長をサポートすべき」と考える方もいらっしゃるようですが、私はおすすめしていません。
経理や雑務だけでは、経営者としての視点が理解しにくく、院長と衝突しかねないからです。
開業医の妻に経理をお勧めしない4つの理由【最も大切な役割をご紹介】
開業前は専業主婦として何気ない日々を過ごしていましたが、事務長になってからは毎日が刺激的。
経営者として新たな知識を取り入れることは面白いですし、幅広い人間関係の中でのお付き合いも楽しいです。
これから院長夫人になる方には、ぜひ「事務長」の役割を担うことをおすすめします。
壁を上手く乗り越えよう!開業医の妻はやりがいにあふれている
一般的に、開業医の妻は周囲から羨望の眼差しを受けることもあるかもしれませんが、実際はそれほど甘いものではありません。
しかし、壁を乗り越えれば充実した日々があります。
また、事務長として働くことでクリニックをより成長させられますし、自分自身のやりがいや糧になることは間違いないでしょう。
下記のウェビナーでは、私が17年かけて培った事務長のノウハウを無料で公開しています。
この記事を読んで、これから事務長を目指してみようと思った方はぜひご覧ください。
「開業医の妻」は、とてもやりがいにあふれています。