「広告宣伝費をかけても新規の患者さんが思うように増えない…」「地域内の競合クリニックとの差別化が難しい…」
クリニックの経営者として、このようなお悩みを抱える方も多いでしょう。インターネットの普及により、今や手軽に情報にアクセスできるようになったことで、地域密着のクリニックは単に診療を続けるだけでは患者さんを集めることは難しい時代となりました。
重要なのは時代にあった広報戦略の立案です。さらに、他院との差別化を意識して広報活動を行うことで、クリニックの認知度やブランディング力の向上が期待できます。
実際に、静岡県島田市で眼科クリニックを運営する当院では、広報活動に力を入れたところ、新規の患者さんを大きく増やすことができました。本記事では、新時代に求められるクリニック広報戦略のポイントを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
これからのクリニック広報に求められる3つの役割
現代のクリニック経営において、広報活動は重要な戦略の一つです。デジタル化が進む中で、オンラインとオフラインの広報活動の組み合わせは、集患力向上の鍵を握るといっても過言ではありません。
ここでは、クリニック広報に求められる3つの役割を解説します。
患者さんとの双方向コミュニケーション
現代の医療消費者(患者さん)は、単に治療を受けるだけでなく、治療過程や医療情報の説明を受け、正しく理解することを望んでいます。そのため、クリニック側は、患者さん一人ひとりとのコミュニケーションを重視し、信頼関係を築くことが求められます。
例えば、定期的に患者さん向けのセミナーを開催したり、治療内容や健康情報を共有したりします。このような取り組みによって、患者さんから信頼が得られるうえ、自院の評判が口コミサイトなどで広がり、結果として新規の患者さんの来院にもつながります。
また、SNSでメッセージを受け付けたり、患者さんの声をもとにサービス改善に活かしたり、治療プロセスを動画で解説したりすることも、双方向のコミュニケーションを促します。これらの取り組みにより、患者さんとの信頼関係を築かれるでしょう。
オンラインとオフラインの相乗効果を生む情報発信
デジタルを活用したオンラインと、従来型のオフラインの手法を組み合わせることで、広報活動の効果を最大限に引き出すことができます。大切なことは、ターゲットとなる地域や患者層に応じてメディア戦略を変えることが重要です。
当クリニックでは、地域のフリーペーパーに広告を掲載する一方、FacebookやInstagramといったSNSを活用して日常のクリニックの様子やイベント情報を発信しています。
このように、ターゲット層に応じてメディアを選択することで、年代や属性にとらわれずより広範な患者さんを集めることができます。
医療の専門性と質をアピールするブランディング
クリニックの専門性と治療の質は、患者さんがクリニックを選ぶ際の重要な判断基準です。したがって、これらを効果的にアピールすることは、クリニックのブランド構築に欠かせません。
例えば、専門医によるコラムや動画を定期的に公開することで、クリニックの専門知識と高い治療水準をアピールできます。また、実際に治療を受けた患者さんの声を紹介することで、新たな患者さんの信頼を得られるでしょう。
また、患者さんの許諾を得る必要がありますが、治療結果の前後の写真(医療法に基づく広告規制によると、詳細な説明を付ける場合に限り認められる)や、患者さん自身の体験談(医療法に従い、正確で誇張のない体験談なら掲載可能)を掲載することも有効です。このように、クリニックの専門性や実績を具体的に示すことで、患者さんがクリニックを選ぶ際の心理的障壁を低減します。
競合との差別化を図る広報戦略のポイント
競争が激しいクリニック経営において、独自の広報戦略が成功の鍵を握ります。ここでは、他院との差別化を図るための広報戦略のポイントを詳しく解説します。
独自サービスやイベントを企画する
独自のサービスやイベントの企画は、クリニックを際立たせる最も効果的な方法の一つです。例えば、眼科クリニックであれば、視覚障がいをお持ちの方向けのイベントや、緑内障・白内障に関する無料相談会を定期的に開催することで、クリニックの認知度が高まるでしょう。
さらに、イベント情報はSNSやクリニックの公式サイトで発信することで、潜在的な患者さんにもリーチすることが可能です。
医療の質と安全性をアピールする
医療の質と安全性を前面に出すことは、患者さんに選ばれるための大切なポイントです。最新の医療機器の導入、高度な衛生管理、優れた医師の専門知識など、クリニックの品質を示す要素は積極的に発信しましょう。
例えば、治療の成功事例をビフォー・アフターの写真とともに公開し、(治療前後の写真を掲載するには、患者がアクセスする媒体であること、治療内容、費用、リスクを明示することが必要。虚偽や誇大広告は禁止。)その治療方法の安全性と効果を詳しく解説した記事を投稿することで、信頼性と専門性をアピールできます。
ソーシャルメディアで双方向コミュニケーション
ソーシャルメディアは現代の広報戦略において欠かせないツールです。Facebook、Instagram、Youtubeなどのプラットフォームを利用して、継続的に情報発信することでクリニックの認知度向上につながります。
例えば、治療に関するQ&Aセッションをライブ配信したり、特定の疾患に対する解説や、日常生活における予防方法を紹介すると良いでしょう。ソーシャルメディアは、コメントやメッセージにて患者さんとコミュニケーションを取ることができます。来院前にクリニックと接点を持つことは新規来院につながりやすくなります。
クリニックの認知度を高める広報活動
クリニックの成功には、効果的な広報活動が不可欠ですが、その手法は多岐に渡ります。ここでは、当院が実際に活用している広報手法をそれぞれ解説します。
公式サイトのSEO対策
SEO対策とは「検索エンジン最適化」のことで、クリニックの公式サイトを検索エンジン上で表示されやすくするための施策です。例えば、「静岡県 島田市 眼科」で検索すると、当院のホームページが検索結果の上位に表示されます。
効果的なSEO戦略には、キーワードリサーチ、コンテンツの質の向上、モバイル対応、そしてページ速度の最適化など、さまざまな要素が含まれます。
また、ホームページ内のブログで特定の疾病に対する治療法や症状に関連する情報提供をすることで、当該キーワードからの流入も見込めるようになります。
GoogleマップのMEO対策
MEO対策とは「マップエンジン最適化」のことで、Googleマップ上で自院の情報を表示させやすくする対策のことです。MEO対策は、「ローカルSEO」とも呼ばれ、地域に根ざしたビジネスの認知度を高めるために効果的な施策です。
クリニックの位置情報、営業時間、連絡先情報を正確に登録し、患者さんからのレビューに積極的に対応することが重要です。これにより、地域内での検索時にクリニックが高い位置に表示されるようになります。
クリニックのMEO対策を詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
参考:クリニックのMEO対策!Googleマップの活用メリットと最適化の方法を解説
YoutubeやSNSでの情報発信
昨今では、日本人の9割が何らかのSNS(ソーシャルメディア)を活用しているといわれ、SNSは私たちの生活に深く浸透しています。YouTube、Instagram、Facebook、LINE、X(Twitter)などを通じて情報発信することで、より多くの人々に向けてクリニックの存在や魅力を伝えることが可能です。
また、動画やブログなどのコンテンツで、治療方法やクリニックの取り組みを発信することで、自院の透明性を高め、患者さんの信頼を得ることができます。
クリニックのSNS活用について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
参考:患者さんとつながる!効果的なソーシャルメディア戦略のポイントを解説
医療専門メディアへの寄稿
医療専門メディアへの寄稿は、クリニックの専門性と信頼性を示す貴重な機会です。最新の治療法や症例研究に関する記事を寄稿することで、専門家としての認知度を高めることができます。
また、これらの記事コンテンツはSEO対策としても有効です。Googleの検索品質評価ガイドラインでは、E-E-A-Tが重要といわれており、医療専門メディアへの寄稿をすることで、クリニックの品質向上が期待できます。
3.4 経験、専門知識、権威、信頼(E-E-A-T)
経験、専門知識、権威、信頼(E-E-A-T)は、PQ評価において重要な考慮事項である。最も重要なE-E-A-Tファミリーの中心に位置する最も重要なメンバーは「信頼」である。
地域コミュニティとの連携
地域コミュニティとの連携は、地元でのクリニックの知名度を高めるために重要です。地元のニュースレターやコミュニティイベントへの参加、地域の健康に関する課題への取り組みを通じて、クリニックの存在感を示すことができます。
例えば当院長は、視覚障がいをお持ちの方向けのイベントの企画に携わったり、2023年はプロサッカーチームとのパートナー契約を交わしたりしています。
これにより、地域住民の間での認知度が増え、新しい患者さんの来院につながることが期待されます。
まとめ|広報戦略でクリニックの未来を切り拓く!
今回は、地域密着で運営するクリニック経営者に向けて、広報に求められる役割や競合他院と差別化を図るポイント、具体的な広報活動について、当院の実例をもとに解説しました。広報活動は、単に情報発信するのではなく、戦略的に実行することでクリニックの認知度を高め、患者さんとの信頼関係を築くことが可能です。
特にインターネットの普及により、誰もがあらゆる情報にアクセスできるようになったことで、クリニックは単に医療技術を提供するだけでは患者さんを獲得することが難しくなっています。そのため、自院の強みや独自性を高め、それらを魅力的に発信することが大切です。
マーケティングや広報戦略と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、大切なことは日々コツコツと発信を継続することです。一朝一夕では成果は出なくとも、継続することであなたのクリニックのファンが増えていくはずです。地域に必要とされるクリニックを目指し、ぜひ広報活動を始めてみてください。