「オンプレミス型の電子カルテを導入したいけど選び方がわからない」「オンプレミス型電子カルテの選ぶ際のポイントを知りたい」このような疑問をお持ちではありませんか?
近年では、クラウド型の電子カルテが注目を集めており、「電子カルテを導入するならクラウド型を導入すべき」といった風潮があります。しかし診療科目によっては、たくさんの医療機器を使用するため、オンプレミス型の方が適しているケースもあります。
一方でオンプレミス型は、クラウド型に比べて初期費用が高額であるため、慎重な検討が必要であることも事実です。
そこで本記事では、オンプレミス型電子カルテ導入時のポイントを解説します。オンプレミス型電子カルテの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
電子カルテのシステム特性を理解する
まず電子カルテ導入を検討する際は、電子カルテの特性を理解することが重要です。中には「電子カルテを導入すれば、あらゆる院内業務が自動化される」と捉えている方がとても多いですが、電子カルテは魔法の道具ではありません。
電子カルテはあくまでも「ツール」であり、導入するだけですべての問題を解決してくれるわけではないことを理解しましょう。もちろん近年の電子カルテは進化しているため、クリニック運営や診療に役立つ機能が豊富に備わっています。しかし、あくまでもツールを使いこなすのは私たち人間の役目です。
たとえば、自身のスマートフォンの機能をすべて使いこなせているかと聞かれて「完璧に使いこなしている」と答えられる人は少ないのではないでしょうか。
電子カルテでも同様に、いくら機能が豊富でも使わなければ無駄にコストを掛けることになります。むしろ、操作画面が複雑になることで、使いにくさを感じてしまい業務が改善されないといった本末転倒の事態につながりかねません。
電子カルテとはどのようなことができるのか、システムの特性を正しく理解をした上で、導入の目的・用途を整理することが大切です。そうすることで、自院にとって最適な電子カルテが見つかる可能性が高まります。
システムの特性を理解した上で活用すれば、業務負荷の軽減やオペレーションの効率化など、クリニック経営の生産性向上に役立ちます。
オンプレミス型電子カルテのシステムは大きく2つ
電子カルテはクラウド型・オンプレミス型に大別されますが、オンプレミス型の電子カルテシステムはさらに2種類があります。
- カスタマイズ型
- パッケージ型
昨今はクラウド型に注目が集まっているため、オンプレミス型のニーズは減少傾向にありますが、眼科をはじめとした医療機器をたくさん使用するクリニックでは、オンプレミス型が依然主流となっています。
ここでは、カスタマイズ型・パッケージ型の違いについて解説します。また、オンプレミス型とクラウド型の違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
<内部リンク|電子カルテはサーバー型?オンプレミス型?費用面、使いやすさで考える>
カスタマイズ型
カスタマイズ型は、その名の通りオーダーメイドで自由にカスタマイズできる電子カルテシステムです。自院の診療科目やオペレーション体制、人員リソースに合わせて柔軟にシステムを調整できることが特徴です。
メリットとしては、自院の運用に合わせることができるため、業務効率化が最も臨める点です。導入後に変更をしたい場合でもシステムを調整することが可能です。
一方、デメリットとしてはイチから設計する分、稼働まで時間が掛かる上、導入費用が高額になる点が挙げられます。
ちなみに当院の電子カルテシステムのベースはパッケージ型ですが、追加でカスタマイズ機能を搭載しています。
パッケージ型
パッケージ型は、あらかじめ決まった型で構築された電子カルテシステムです。パッケージ型は、ベンダー側の過去の導入実績や蓄積されたノウハウによって、さまざまなクリニックごとの運用に適応させる設計になっていることが特徴です。
汎用性の高い機能が豊富に備わっている上、簡単な設定変更などにより、おおよその運用には対応できるように設計されています。
また、カスタマイズ型と比べて廉価に導入できるため、電子カルテ導入がはじめてのクリニックでも安心して導入できる点もメリットです。
一方、デメリットとしては、あらかじめ型が決まっているため、カスタマイズ型ほど自由な設計ができないことが挙げられます。そのため、システムに自院の運用体制を合わせることが必要です。
以前までは、パッケージ型はUI(ユーザーインターフェース)が見にくく「使いづらい」といった声もありました。しかし、近年では、電子カルテのUIデザインの重要性が注目されていることで、カルテ入力やサマリなどの画面デザインを変更できる仕様になっており、パッケージ型も進化しています。
自院に合った電子カルテを導入する際のポイント
オンプレミス型の電子カルテを導入する際にはいくつかのポイントを抑えることが大切です。
ひとつめは「導入目的と、必要な機能を整理すること」です。目的とは、電子カルテを導入することでどういったことを改善したいかを決めることです。電子カルテは魔法の道具ではありませんので、導入したからといってすべての問題が解決できるものではありません。
各社の電子カルテによって備わっている機能も異なるため、必要な機能・あると便利な機能・不要な機能を整理することで、どのような電子カルテを導入すべきか方向性が見えてきます。
ふたつめは、「実際に目で見て肌で感じること」です。医療機器の展示会に参加したり、他のクリニックに見学して実際に体感することが大切です。
「この機能もあったほうが良い」「この機能は不要だ」など、システムの特性理解を深めることで、より具体的な電子カルテのイメージができあがっていきます。
電子カルテを導入する際のポイントを詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
<内部リンク|電子カルテ、導入前に押さえるべきポイント【目的・予算・現在の運用】>
まとめ|システムの特性を理解して自院に合った電子カルテを導入しよう
今回はオンプレミス型電子カルテの選び方について解説しました。
オンプレミス型を導入する際は、いきなりシステムのパンフレットを見たり、ベンダー営業担当者の話を聞くのではなく、「そもそもどういったことを解決したいのか?」といった導入目的を整理することが重要です。
目的と手段が混同してしまうと、導入後に思うように使いこなせなかったり、必要な機能が備わっていないことに気づくなど、失敗を招くケースもあります。
特にオンプレミス型はクラウド型に比べて、導入費用が高額になりがちですので、多少時間を掛けても慎重に検討することをおすすめします。
本ブログでは、この他にも電子カルテ選びに役立つ情報を提供していますので、ぜひそちらもあわせて参考になさってください。