スタッフがクリニックに対してどのような不満を抱えているのか分からないと悩んでいませんか?
私もスタッフがどんな不満を抱えているのか分からず苦労しました。
最初の頃はスタッフの気持ちが中々汲み取れませんでしたが、スタッフ1人1人とコミュニケーションを取りながら真摯に向き合うことで、早期退職者0の働きやすいクリニックを作ることができました。
本記事では、私が16年間のクリニック経営で得た知識をもとに、スタッフが不満を抱えているサインや解消法を紹介します。
この記事を読むことで、
- スタッフが不満を持つ理由やよくある不満
- 不満を抱えているサイン
- スタッフの不満を解消する方法
- スタッフの満足度を上げる方法
がわかります。
本記事を参考にしてぜひスタッフの不満を解消してください。
スタッフの不満は積み重なる前に解消しよう
スタッフの不満は積み重なる前に解消することが大切です。
不満を持ったスタッフがいると、職場の空気が悪くなるだけでなく突然の離職で人が足りなくなることもあり、経営にも悪影響を及ぼします。
集団退職などの大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるので、スタッフが不満を抱える原因やサインを見つけて早めに対処するようにしましょう。
クリニックスタッフが不満を持つ理由
クリニックスタッフは、労働環境に納得できていないことが不満の原因になっていることが多いです。働く環境がよくないと、勤務のたびにマイナスな気持ちになり不満が溜まってしまいます。
特に、不満の理由になりやすいのは次の3つについてです。
- 人間関係
- 福利厚生
- 業務内容
基本的な福利厚生に加えて、やりがいがないなど業務内容も不満の原因になりやすいので注意が必要です。自院の福利厚生や業務内容を定期的に見直し、不満の理由になるものがないかチェックしましょう。
ここでは、具体例としてクリニックスタッフのよくある不満を紹介します。よくある不満として次の4つが挙げられます。
- スタッフとの関係が上手くいっていない
- 休みの日や休憩時間が少ない
- 福利厚生が悪い
- 日々の業務がつまらない
スタッフとの関係が上手くいっていない
よくある不満として、スタッフ同士の関係が上手くいっていないことが挙げられます。
日々の業務を円滑に進めるためにはスタッフ同士のコミュニケーションが欠かせません。そのため、考え方の違いなど人間関係で不満が溜まることが多いです。
総合メディカル株式会社のアンケートでは「上司や後輩も含め、院内スタッフに対する不満はありますか?」という質問に52%と半分以上のスタッフが「はい」と答えています。
出典:DtoDコンシェルジュより
このアンケート結果からもわかるように、人間関係は多くのクリニックスタッフが不満を抱える原因の1つです。
休みの日や休憩時間が少ない
休みや休憩が少ない職場で働いているスタッフは不満を抱えやすいでしょう。休める時間が少ないと、心も体も疲弊してしまうのでクリニックに対して不満を持つことが多いです。
既婚者で家庭を持っているスタッフは家族との時間が取れないことを理由に退職してしまうことも少なくありません。
福利厚生が悪い
福利厚生は、スタッフの不満が溜まりやすく離職にもつながるポイントです。福利厚生がないクリニックは、労働環境が悪くスタッフも不満が溜まりやすいので注意しましょう。
特に、以下の5つの法定福利厚生は法律で義務づけられている基本的な福利厚生です。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
これらの福利厚生がない職場は労働環境がよいとはいえず、スタッフが不満を抱えやすいでしょう。
日々の業務がつまらない
やりがいが感じられないとスタッフの満足度は下がります。事務作業やレセプト業務ばかりでマンネリ化し、仕事がつまらなくなることで不満が募ってしまいます。
この不満はやる気のあるスタッフが抱えやすく、やりがいを見いだせずに退職してしまうケースも多いです。
スタッフが不満を抱えているサイン
スタッフが不満を抱えているときは「勤務中の積極性がなくなること」が多いでしょう。不満を持っていると仕事にやる気がなくなるため仕事に対する熱意が少なくなります。
スタッフが不満を抱えているサインに気付くことで、離職に至る前に問題を解消できるので安定したクリニック経営につながります。
具体的なサインは以下の3つです。
- 休みがちになる
- 周りとコミュニケーションを取ろうとしない
- 突然不平不満をいわなくなる
勤務中に人と関わろうとしなかったり、ある日突然文句をいわなくなったりするスタッフは、退職や転勤を考えている可能性があります。
また、なにかと理由をつけてすぐ休むようになった人も職場に不満を抱えていることがあるので注意しましょう。
スタッフの不満を解消する方法
次に、私が実際に行ってきたスタッフの不満解消法を紹介します。よくある不満を解決するために効果的な方法なのでぜひ参考にしてくださいね。
相談しやすい環境作りを行う
スタッフの不満を解消するためには相談しやすい環境を作ることが大切です。クリニックに対する不満は院長など上司に相談することで解決できるケースが多いです。
また、人間関係などは話しにくく抱え込みやすい不満なので、積極的に打ち明けてもらいましょう。
私は年に数回個人面談を行い、スタッフのクリニックに対する不満を聞くようにしました。もちろん面談での内容は他言しないことを伝え、本心で話してもらえるように工夫を行っています。
また、私は相談しやすいリーダーである様に常に努めています。不満の中にはスタッフ同士だけで解決できないこともあるので、院長や事務長に相談しやすい環境を作っておくことも非常に大切です。
労働や雇用に関する質問には速やかに対応する
スタッフの不満を溜めないためにもスタッフの質問にはすぐに回答するようにしましょう。特に、労働条件や雇用関係についてはトラブルになりやすいのですぐに対応することが重要です。
スタッフから質問や意見があった場合は、退職につながる前にすぐに対応しトラブルを防ぎましょう。
スタッフの意見を積極的に取り入れる
スタッフの意見を積極的に取り入れることで、仕事にやりがいを感じてもらうのもおすすめです。
業務内容に関する意見を出してくれるスタッフは意欲が高くやる気があるため、しっかりと話を聞いてモチベーションを下げないようにしましょう。
私はスタッフから業務改善をもらったときは感謝の気持ちを述べたあと、全体で話し合いを行い必要であればすぐに実行するようにしています。
こうすることで、意見を出したスタッフは自分の考えに自信を持つことができ、前向きな態度で職務に当たるようになります。
労働時間管理をしっかりと行う
休みや休憩時間に関する不満を解消するためには、普段から労働時間管理を行うことが大切です。スタッフ1人1人の労働時間を把握し、適切な賃金を支払うことは経営者が行う基本的な内容です。
ここを蔑ろにしてしまうと、労働環境が悪くなりスタッフの不満につながってしまうため、しっかりと労働時間管理を行いましょう。
労務管理に関する専門的な知識を身につけながら、専門家と相談して進めるようにしましょう。
福利厚生を充実させる
スタッフの不満を解消するためには福利厚生の充実が欠かせません。福利厚生には住宅手当や昼食補助、レジャー施設の割引制度などさまざまあるのでコストや効果を考えながら選びましょう。
当院では育児・介護休業等規程を設けてライフステージが変わっても働ける環境作りを行っています。
入社数年後にお子さんが産まれたり介護を行わなければいけなくなったりしたスタッフに対しては、クリニック側が柔軟な体制を作り歩み寄ることが大切です。
そのため、法的には子育てを理由とする時短勤務は3歳未満の子どもを持つ労働者に対して認められていますが、当院では小学校就学の始期まで認め、お子さんが保育園に上がった後もお母さんが働きやすい待遇を与えています。
スタッフの満足度を上げる方法
長期スタッフを増やし、安定したクリニック経営を目指すためにはスタッフの不満を解消するだけでは不十分です。
日々の仕事の満足度を上げることで、スタッフに「この職場で働きたい!」と感じてもらい、長期で働いてもらうことができます。
スタッフの満足度を上げるためにクリニックが意識すべきことは、次の3つです。
- 理念を強く意識してもらう
- スタッフに「意味的報酬」を提供する
- 労働環境を整える
これらを意識することで、スタッフが不満を持たず前向きに働くことができます。
理念を強く意識してもらいスタッフの意欲を高める
経営理念を強く意識してもらうことで、スタッフの意欲を高めて満足度を上げることができます。スタッフ全員が1つの理念を理解し共感すると、クリニック全体に一貫した精神が流れます。
これが毎日の業務のあらゆる言動に形となってあらわれ、スタッフの仕事や自分自身に対する誇りや自信につながり満足度がアップするでしょう。
私はスタッフに対して日頃から理念を口にしながら指導したり理念の書かれたボードをスタッフの目に届くところに掲げたりすることで理念を浸透させ、スタッフの意欲を高めています。
スタッフに「意味的報酬」を提供する
スタッフに意味的報酬を提供することも大切です。意味的報酬とは「仕事で得られる満足感や幸福感のこと」です。
給与や賞与といった経済的報酬だけでなく、やりがいを感じたり誇りを持てたりするような意味的報酬を意識したクリニック作りを行いましょう。
意味的報酬については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
労働環境を整える
労働環境を整えることはスタッフの満足度に直結します。業務内容だけでなく、適切な勤務時間や休みを作ったり雇用保険などの補償を充実させたりすることも大切です。
また、休暇に関してはしっかりと休みを取ってもらうように工夫しましょう。
当院では、お誕生日休暇などイベントを決めることで有給休暇の前向き消化を促し、育児休業を取得するスタッフに対しては、休暇中に職場復帰に関する資料の提供や食事会の声かけを行いスムーズに復帰できるように支援しています。
休暇前は引継ぎをしっかりと行い、復帰後は段階的に復職できるように「慣らし勤務期間」を設けるなど休暇前後のサポートもしており働きやすい環境作りを行っています。
まとめ
本記事では、16年の経営経験を活かしたスタッフの不満に関するノウハウを紹介しました。
スタッフの不満解消法は、相談しやすい環境を作ったり意見を積極的に聞いたりとすぐに実行できるものばかりです。
スタッフが不満なく働ける医院を作り、安定したクリニック経営を行いましょう。