「スタッフの身だしなみルールをどのように設定すれば良いかわからない」「ルールが厳し過ぎるとモチベーションに影響するって本当?」このような疑問をお持ちではありませんか。
スタッフの身だしなみは本人の意識が表れやすい部分です。制服がピシッとしていたり、メイクが洗練されていたりすれば、スタッフの表情もイキイキします。結果として、患者さんの好感度も上がり、院内の雰囲気も明るくなるものです。
そこで今回はクリニックにおけるスタッフの身だしなみの重要性や注意すべきポイントについて解説します。
スタッフのやる気は身だしなみに表れる
「身だしなみの乱れは、心の乱れ」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。もちろん、やる気や意欲といった内面は他人には見えません。
しかし、仕事に身が入っていなかったり、意欲が乏しかったりすると、身だしなみや表情といった外見に表れるものです。
人間誰しも、落ち込むことや仕事に集中できないという日はあるでしょう。ただし、それによって身だしなみが崩れていたり、表情が暗かったりすれば、患者さんに気を遣わせてしまいます。
そのため、スタッフの身だしなみが乱れていないかどうかは、普段から意識してチェックする必要があります。
特に、普段きちっとしているスタッフの身だしなみが乱れている場合は、何かしらの問題を抱えている可能性も考えられますので注意しましょう。
クリニックスタッフの身だしなみ管理の重要性
クリニックは医療機関でありますが、単に診療や検査など医療行為だけ提供していても患者さんは来てくれません。特にクリニックの数は年々増加傾向にありますので、近くに新しいクリニックが開業すれば、患者さんが流れてしまう可能性もあります。
そうした事態を防ぐためにも、身だしなみを含め患者さんに対するホスピタリティやサービス面の強化が必要です。ここでは、スタッフの身だしなみ管理の重要性を解説します。
派手な格好は患者さんに不快感を与える可能性がある
アパレル販売員や美容師などであれば職業柄、オシャレな見た目も重要でしょう。一方、医療従事者として大切なことは、患者さんに清潔感を与えることです。
医療従事者として相応しくない派手な格好や、清潔感に欠ける格好は患者さんに不快感を与えかねませんので、気になったときにきちんと指摘することが大切です。
身だしなみがきちんとしているスタッフは好感をもたれやすい
制服に汚れがなく、髪型や身だしなみがきちんとしているスタッフは、仕事にも精力的な傾向があります。
特に女性であればメイクをされる方も多いですが、たとえノーメイクであっても普段からスキンケアをきちんとしている方は素肌が輝いており、表情も明るい方が多い印象です。
表情がイキイキしていると患者さんからの好感も上がりますし、自然と院内が明るくなります。
厳しすぎる身だしなみルールはスタッフのモチベーションを下げる
スタッフの身だしなみを管理することは重要ですが、ある程度本人に裁量を持たせることも大切です。身だしなみルールを細かく設定し過ぎると、スタッフのモチベーションを下げる可能性が高まります。
中には、特に理由もなく禁止している場合もありますし、時代にそぐわない場合もあります。「本当に必要か?」「ある程度裁量を持たせられないか?」といったように、定期的に身だしなみルールを見直してみることをおすすめします。
クリニックのスタッフの身だしなみチェックポイント
身だしなみを管理する際にどういった部分を意識的に見れば良いかわからない。といった方も多いのではないでしょうか。ここではクリニックにおけるスタッフの身だしなみチェックポイントをそれぞれ解説しますので、ぜひ参考にしてください。
メイク
女性スタッフの場合、お化粧をされる方も多いでしょう。しかし、クリニックでは強めのチークや濃いアイシャドウは相応しくありません。出来る限り、ナチュラルメイクを心がけましょう。
また、視力が悪い方がコンタクトレンズを使用する場合、カラーコンタクトの着用も患者さんに不快感を与えてしまう可能性があるため避けたほうが良いでしょう。
ただし、「メイクは完全禁止」とするのは逆効果です。メイクをすることで、本人の表情が明るくなり、患者さんにも好印象を与えることができます。
髪型・髪色
女性スタッフの髪型も見た目に大きく影響する部分です。特に、長髪の場合は業務の妨げにならないように、ひとつに束ねることが望ましいでしょう。
また、短髪(ショートヘアー)の場合でも、前髪が顔にかからないように、ヘアピンで留めるなどの配慮が必要です。ただし、ヘアピンは極力シンプルなものを使用し、華美なものは避けましょう。
髪色に関しては、派手すぎない程度であればカラーを許可した方がスタッフのモチベーションも高まりますし、患者さんから苦情を言われることもほとんどありません。
カラースケールで6〜7程度であれば基本的には問題ないでしょう。ただし、10以上は明るすぎるため避けた方が無難です。
スタッフの髪色に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
参考:【人材が集まる】クリニックのスタッフの人材不足を解消する髪色自由とは?
爪(ネイル)
爪は患者さんの目に付きやすい部位なので、清潔感が重視されます。爪の長さは、出来る限り短く整えておくことが大切です。爪が長いと、不衛生に感じられたり、作業に支障をきたしたりします。
ただし、人によっては爪が薄く、割れてしまいやすい方もいますので、そうした方はマニキュアなどでコーティングをすることで作業効率が高まります。また、ある程度手入れされた爪の方が患者さんからの印象も良くなるものです。
色に関しては、「無色なら可」「肌色に近い淡いピンクまでなら可」とするなど、完全禁止まではいかなくとも、ある程度許容した方が良いでしょう。ただし、華美なネイルは医療従事者として相応しくないため、一定の規定を設けることが大切です。
アクセサリー
アクセサリーの着用は、アイテムによって問題ないものと、着用を避けた方が良いものがあります。
基本的に着用を避けるべきなのは、ピアスやネックレスなどです。特に、ゆらゆら揺れるもの、キラキラ光るもの、デザインが派手なものは、患者さんに不快感を抱かれる可能性が高いでしょう。また、万が一業務中に落ちてしまった場合、医療事故に発展するリスクもあります。
指輪についても、指輪と指の間に汚れが溜まりやすいので、衛生上の観点でいえば推奨しません。結婚指輪の着用については、クリニックによって判断がわかれるため、就業規則を設けるなどあらかじめスタッフに伝えます。
腕時計については、業務で時間を計る機会もあるため、完全禁止にはしないものの、小ぶりでシンプルなものに留めた方が無難です。盤面が大きく、装飾が派手なものは避けましょう。
【参考】当院の身だしなみルールを紹介
当院ではスタッフに対して「身だしなみはプロ意識の表れ」と常に伝えています。なぜなら、クリニックは単に医療行為を提供する場ではなく、患者さんに居心地の良さや安心感を持ってもらうことも大切だからです。
近隣にはたくさんのクリニックがある中で、最終的に自院が選ばれるかは患者さん次第です。だからこそ、スタッフは身だしなみを整えて、患者さんを温かくお迎えすることが大切だと考えています。
以前、身だしなみがきちんとしていないスタッフに指導したことがありました。すると、スタッフから「仕事に来ているだけですから」と言われてしまいました。
それに対して、「クリニックで働くことは、単に作業をすればいいわけではないよ。わざわざ患者さんがお越し頂いているわけだから、身だしなみの意識は持つように」と伝えました。
本人は理解してくれたようで、その後は身だしなみに気を使うようになり、自分に合ったヘアカラーを楽しむまでに変わりました。患者さんからも「似合ってるね!」と言っていただけるようになり、モチベーションに繋がっているようです。
当初は、『身だしなみを整える=プライベートで楽しむもの』という認識があったのでしょう。
特に近年では、若い人を中心に「仕事とプライベートはきっちり分ける」という価値観が高まっていると感じますが、それも教育次第で変わります。
参考までに、当院の身だしなみルールは、就業規則の服務規程に従っています。
【挨拶・身だしなみ】
- 挨拶は人間関係の根源をなすものであるため、受診者や訪問者はもとより、上長・同僚・部下、その他職員間においても、元気な声で挨拶を励行すること。
- 医療従事者として適切な身だしなみを心がけ、清潔感を与えるよう努めること。ツメの長さ、マニキュア、香水、指輪などのアクセサリーの装着などには十分注意すること。ただし、イヤリング・ピアスについては、就業中は装着禁止とする。
- 染髪をする場合は清潔感・好感もてる色とし、ヘアーエクステテンションは原則禁止とする。
- メイクアップは派手なものをせず、受診者から見ても健康的な印象を与えられるものとすること。
まとめ
クリニックにおいて、スタッフの身だしなみは患者さんからの信頼や評価にもつながります。また、メイクや髪型など身だしなみを整えることで、スタッフ自身の表情も明るくなり、仕事に対するモチベーションも高まります。
一方、スタッフの身だしなみが崩れている場合は、何らかの悩みや問題を抱えていることもあるため注意が必要です。
ただし、身だしなみを指摘する際は、「髪型について」「ネイルについて」など特定の部位に対してのみ言及するようにしましょう。
容姿や体型について指摘すると、セクハラ・パワハラと捉えられ、トラブルに発展する恐れもあります。
特に、男性院長が女性のスタッフに注意する際は、伝え方が難しいこともあるため、女性の事務長やベテランスタッフを介して伝えるなど工夫しましょう。
あるいは、当院のようにあらかじめ就業規則を設けることも大切です。ぜひ今回の内容が参考になれば幸いです。