理念を決めたり研修を行ったりしているのに、なかなか成果が出ないと悩んでいませんか?
スタッフ教育をうまく進めるためにはパーパス経営を意識することが非常に大切です。クリニックの存在意義を示すパーパスを使った経営は、クリニック全体の士気を高めてスタッフの団結力を向上させてくれます。
本記事ではクリニックにおけるパーパス経営の重要性やスタッフ教育に活かす方法を紹介します。パーパスをうまく活用して人事問題を解決しましょう。
スタッフ団結に繋がるパーパス経営はクリニックに必須
クリニックにおけるパーパス経営とは医院の存在意義や全体の指針を示したパーパスをもとに、経営を行うことです。スタッフはパーパスを意識しながら日々の仕事に取り組むことで、モチベーションや仕事の質が向上します。
また、クリニック全体に一体感が生まれ、団結力のあるスタッフを生み出すことにもつながります。
人事に悩む院長はスタッフ教育につながるパーパス経営を行い、理想のクリニックを作りましょう。
パーパス経営とは
パーパス経営とは、パーパスに基づいて事業戦略を立てたり社会活動を行ったりすることです。
パーパスとは元々「意味・目的」を表す英語ですが、近年ビジネスにおいて会社の存在意義を示す言葉として使われるようになりました。
ビジネスシーンにおけるパーパス経営は、なぜ自社が存在しているのかを明らかにし、それに沿って経営を行うことを指しており、FaceBook社やSonyなどさまざまな大手企業が取り入れています。
クリニックを経営する上でもパーパス経営は非常に大切だと考えています。なぜなら、自院の存在意義に基づいて日々の業務を行うことで、患者さまの満足度アップや社会貢献につながるからです。
パーパスと経営理念の違い
パーパスと経営理念の違いは、社会的な意味が含まれているかどうかです。パーパスは社会全体を意識したものが多いですが、経営理念は経営者の思いが言葉になっています。
経営理念は最終的に目指す目標や理想を表したもので、経営を進める上での軸となります。一方、パーパスは社会における存在意義を表し、なぜ存在しているかを示したものです。
そのため、クリニックのパーパスは、より患者さん自身やその周りとの関わりを重視したものになるべきです。
クリニックにおけるパーパス経営のメリット
クリニックにおけるパーパス経営のメリットは、主に次の3つです。
- 患者さんからの信頼を得ることができる
- スタッフのエンゲージメントが向上する
- スタッフ同士の意見交換が活発化する
パーパス経営を行い、社会に貢献できるようなクリニックであれば患者さんからの信頼を得ることができます。
また、スタッフは仕事に対して前向きになり、意見交換なども活発化するので、スタッフ教育にも効果的です。
患者さんからの信頼を得ることができる
パーパス経営は患者さんの信頼を得ることにつながります。パーパス経営を行うクリニックは、社会とのつながりを意識した医院だと認識されるので患者さんやその周りからの信頼感が高まります。
患者さんにクリニックの取り組みを知ってもらうためにもパーパスは見えるところに掲げておくのがおすすめです。
クリニックを経営する上で患者さんから信頼を得ることは非常に重要です。
安心して治療を受けられるクリニックだとわかれば、患者さんのリピート率が高まることに加えて、口コミで新規患者獲得にもつながります。
スタッフのエンゲージメントが向上する
スタッフのエンゲージメントを向上させるためにはパーパス経営が大切です。エンゲージメントとは業務や組織に対する愛のことです。
クリニックの存在意義が明確になっていれば、自ずとスタッフの存在意義もはっきりとします。
スタッフ自身が働いている意味を理解しながら業務に取り組むようになるので、日々の業務やクリニック自体に愛着を持ってくれます。
愛着を持って仕事をするスタッフが増えればスタッフ全体の士気も高まるので、パーパス経営はスタッフ教育においても大切です。
スタッフ同士の意見交換が活発化する
クリニック内で意見交換をする機会が多いなら、パーパス経営を取り入れるのがおすすめです。
なぜ自院が存在しているのかがはっきりした状態で働くことで、スタッフは存在意義を意識して物事を考えるようになるでしょう。
そのため、パーパスに基づいた経営を行うことで業務に関する意見交換が活発化します。話し合いが活発化すれば、業務や患者さんへの対応の質を上げることにもつながります。
パーパスを決めるときのポイント
自院のパーパスを決めるときは、次の3つのポイントを意識することが大切です。
- 自院の提供価値を入れ込む
- 短くて覚えやすいストーリーにする
- 社会・スタッフ・医師に向けた言葉にする
パーパスはスタッフ教育や経営に役立てるために、スタッフや医師に伝わる言葉にするのがおすすめです。
また、社会と自院との関わりを意識し、社会的な存在意義を含めるようにしましょう。
自院の提供価値を入れ込む
パーパスを作る上で自院の提供価値を入れ込むことが重要です。存在意義を表すパーパスは、社会の中でどのような価値があるのかを言葉にしたものです。
そのため、経営するクリニックが患者さんや社会に与える価値を言葉にしましょう。
眼科である当院のパーパスは「見えない不安をとりのぞく」です。
患者さんはいつまでも本を読んだり仕事を続けたりしたい気持ちがあるはずですが、実際に見えていたものが見えなくなる不安は当事者にしか理解できません。
しかし、このような見えないことの不安を適切な治療で少しでも緩和し、患者さんの気持ちに寄り添えるクリニックでありたいと思い、このパーパスを作りました。
当院のように、提供できる価値を意識してパーパスを作ることをおすすめします。
短くて覚えやすいストーリーにする
スタッフ教育に活かすためにも、パーパスは短くて覚えやすいものにしましょう。たくさんの言葉を詰め込むと、覚えづらく院内になかなか浸透しません。
また、ストーリー性やメッセージ性を含めることも大切です。クリニックの存在意義を示すだけでなく、心のこもった言葉にすることでスタッフにも響きやすいパーパスになります。
社会・スタッフ・医師に向けた言葉にする
パーパスはスタッフや医師、社会全体に向けた言葉にする必要があります。パーパスは経営者だけのものではなく、社会全体の役割を示さなければいけません。
また、作ったパーパスをもとにスタッフや医師の教育を行ったり業務を進めたりするので、それぞれに向けた言葉であることが重要です。
当院のパーパスである「見えない不安をとりのぞく」は、患者さんに寄り添うことで社会に役立つクリニックになるという思いが込められています。
また、スタッフや医師にも理解しやすく、業務に活かすことができるパーパスです。
パーパス経営の注意点
パーパス経営を行うときは、毎日パーパスに沿って行動することが大切です。パーパスを作っても、その通りの経営ができなければ意味がありません。
パーパスに沿って日々の業務を行えるようにスタッフ教育を行うことも重要です。経営者自身はもちろん、クリニック全体でパーパスを意識して過ごすことで効果が表れます。
また、パーパスを決めるときは規模が大きすぎたり現実味のない内容になったりしないように気を付けましょう。実現可能なパーパスにすることで、日々の業務にも活かしやすくなります。
パーパス経営をスタッフ教育に活かす方法
パーパス経営をスタッフ教育に活かす方法を実践例を踏まえて紹介します。
パーパスを決めた人とスタッフで話し合う
まずは、パーパスを決めた本人とスタッフで話し合いを行いましょう。パーパスを掲示したりただ伝えたりするだけではスタッフの心に響きづらいです。
パーパスを決めた背景や思い、どのようにクリニック業務に活かしていくのかを伝えることで、クリニック全体にパーパスを浸透させることができます。
パーパスを理解してもらう取り組みを行う
パーパスを理解してもらうための取り組みを定期的に行うのもおすすめです。当院では、「見えない不安をとりのぞく」というパーパスを浸透させるために、次のような取り組みを行っています。
- 視覚に障害のある方の見え方を体験するワークショップを行う
- 学会に参加して研鑽を積んでもらう
- ビジョンサポート機器展・相談会に参加してもらう
白内障や緑内障、視野狭窄などを体験できる眼鏡やキットを使って患者さんの見え方の理解を深めています。
スタッフ自身が視覚に障害がある方の体験をすることは、患者さんの気持ちを理解する上で非常に大切です。
また、定期的に学会やビジョンサポート機器展に参加してもらうようにしています。ビジョンサポート機器展とは、ロービジョンの方が生活向上のための情報を入手するための展示会です。
スタッフには当事者の案内役としてボランティアで参加してもらい、仕事に対する使命感を育てています。
まとめ
本記事ではクリニックにおけるパーパス経営の重要性とスタッフ教育への活かし方を解説しました。医院の存在意義を示すパーパスは、クリニック経営だけでなくスタッフの教育にも役立ちます。