患者さんのリピート率アップには患者満足度UPが欠かせないけど何をしたらいいか分からない・・・と悩んでいませんか?
患者満足度を上げるためには、患者対応だけでなく人材育成や医療システムにも力を入れる必要があります。あらゆる面から対策を行うことで、患者さんの満足度を上げて集患につなげることができます。
今回は、患者さんの満足度を上げるポイントや具体策を紹介します。患者満足度UPに効果的な対策を行って人が集まるクリニックを目指しましょう!
患者満足度はリピート率に直結する
患者満足度はリピート率に直結します。一度来院した患者さんは、スタッフや医師の対応、診療方法などを観察します。
そして納得のいくクリニックであれば、また来院しようと思うのです。
実際、日本医師会が行った「日本の医療に関する意識調査」では、医療機関を受診する際に「最初にかかりつけ医など決まった医師を受診する」ことを望む人は「全体の7割」にも及んでいます。
引用:第5回日本の医療に関する意識調査より
多くの患者さんは、一度通ってよかったと感じたクリニックに来院する傾向にあります。そのため、集患を行う上で患者満足度対策は欠かせません。
患者の満足度が上がるポイント
患者の満足度アップを目指すためのポイントは、次の3つです。
- スムーズな診療
- 分かりやすい説明
- 気持ちのいいスタッフや医師の対応
スムーズな診療
患者さんは、スムーズに診療ができると好印象を持つでしょう。スムーズな診療には、待ち時間の長さや予約の取りやすさが関係しています。特に、待ち時間は患者満足度に大きな影響を与えます。
病院満足度による外来患者の不満トップ10では、「診察待ち時間」に対する不満が22.2%と最も多く、次いで「会計の待ち時間」も16.7%と3番目に多い結果となりました。
出典:マーケティングレポート(外来患者「待ち時間」の意識)より
患者さんは、診察中より待ち時間に対して不満を持つことが分かります。
分かりやすい説明
医師やスタッフは、分かりやすい説明を行うことが求められます。患者さんは自分の疾患についてしっかりと理解することで、納得して治療を受けようと思います。
分かりやすい説明は安心感を与えるだけでなく、患者教育本来の目的を達成することにもつながるでしょう。
患者さんに説明を行うときは、現状や治療方法のほか治療にかかる金額なども明確にしておくことで、満足度アップに加えて大きなトラブルを避けることができます。
気持ちのいいスタッフや医師の対応
スタッフや医師の対応は患者満足度に大きな影響を与えます。スタッフは、不親切な対応や無愛想で横柄な態度にならないように十分に気を付ける必要があるでしょう。
クリニックに訪れる患者さんは、不安な気持ちになっているためスタッフ対応に敏感になっています。そのため、少しの表情の変化や話し方で不快感を持つ可能性があります。
患者満足度を上げるためには、人材採用や育成にも力を入れるべきです。
患者満足度UPのための具体策①医療システムの導入
次に、患者満足度UPに効果的な具体策として医療システム導入の方法を紹介します。医療システムは、「医療に関するさまざまなシステムの総称」です。診察や治療に関するものから予約や会計に関連するものまで数多く存在します。
今回は、患者さんの満足度向上につながる医療システム導入のポイントを解説していきます。
医療システム導入のポイント
医療システムは、「診療方針」と「経営計画」の双方の視点から導入を検討することが大切です。いくら患者さんやスタッフが満足できるシステムを導入しても、コストがかかりすぎると経営が上手くいきません。
業務効率化や患者さんの満足度アップができる医療システムは、それぞれのクリニックに合ったものを導入することで無駄なお金を使わずに院内システムを充実させることができます。
整形外科であればシェーマを書く機会が多いので電子カルテを導入する、眼科であればデータ容量の大きな多数の精密画像を一元的に取り込む機械を導入するなど、診療スタイルに合わせて医療システムの導入を検討しましょう。
医療システム導入の実践例
実際に私は電子カルテを導入し「紙と電子カルテのハイブリッドシステム」→「完全電子化」と2つのステップを踏み、7年の期間をかけて段階的にシステム変更を行いました。
現在は、電子カルテに取り込んだ鮮明な画像や時系列解析をお見せしながら診断や治療について説明しています。患者さんは、「すごい、こんな風になっているんですね」と興味を持って下さいます。
医療システムの導入によって分かりやすい説明を行うことで、興味関心を持ちながら病気の理解や治療への意識を高めることができるので、患者さんの満足度は確実にアップするでしょう。
医療システム導入の注意点
医療システムを導入するときは、「スタッフとの合意形成に努める」ことが重要です。新しいシステムを導入した場合、当然スタッフに使い方の習得や業務プロセスの変更をお願いしなくてはなりません。
事前に、導入の意義を説明し、受け入れられる土壌作りを行いましょう。スタッフからの反発を想定し、「結果として仕事が楽になること」「スタッフ自身の成長につながること」に重点を置いて丁寧に説明すると、理解を得られやすいでしょう。
患者満足度UPのための具体策②人材採用・育成の工夫
患者満足度アップを図るためには、人材の採用や育成の工夫が欠かせません。なぜなら、スタッフは患者さんと直接関わることが多く、満足度に大きな影響を与えるからです。
優秀なスタッフをそろえ、教育して長く働いてもらうことが重要です。
人材採用・育成のポイント
クリニック経営における労務・人事に関しては、「社会保険労務士と顧問契約を結びノウハウを学ぶこと」が大切です。院長や事務長が社労士から労務管理のノウハウを学び、クリニックに合った環境を整えておきましょう。
基本的なことですが、労働に関する法律は改正されることもあるため、情報をしっかり得ておかないと意図せず法律違反を犯す可能性があるので注意が必要です。
また、人材採用や育成に当たっては「就業規則」や「募集広告」の工夫をしっかり行うと、優秀なスタッフをそろえることができます。
人材採用・育成の実践例
私は、社労士と相談しながらオリジナルの就業規則を作りました。このとき、私は一般的な就業規則の文言に疑問を持ち、社労士に「もっとわかりやすい言葉で作ろう」と提案したのです。
就業規則の文言は、独特の古風な言い回しや回りくどい言い方が散見され、誰でも読めばすぐ理解できるものが少ないように感じます。
就業規則は、お飾りではなく実用するためのものですから、当院の就業規則は平易な文章で作り上げ、理解しやすいものにしました。
重厚感はありませんが、結果的に従業員の心に届く就業規則を作ることができたと思っています。
また、人材採用・育成に関する具体的な対策は以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。
>>参考:クリニックスタッフ採用時のポイント3選【辞めない人材と出会う】
人材採用・育成の注意点
人材採用においては、「応募してくれた人に対して敬意を払い尊重した扱いをすること」が非常に大切です。これは、経営者の義務といえるでしょう。
応募してくれた人や実際に働いてくれるスタッフも地域住民の1人です。クリニックに対して悪感情を抱けばそれが地域に広まり、当然集患にも影響します。
一度来院してくれた患者さんでも口コミや噂で悪いイメージがつけば、もう一度来院してくれることはありません。一見集患とは関係ないように感じる人材採用ですが、悪い噂をなくすためにも対応の仕方には注意が必要です。
患者満足度UPのための具体策③患者対応の工夫
患者さんへの対応は、患者満足度UPに大きな影響を与えます。患者さんに満足してもらうためには、スタッフの対応や患者教育の工夫に加えて、スタッフが生き生きと働ける環境を作ることも重要でしょう。
患者対応のポイント
患者さんとコミュニケーションを取るときは、「患者さんの心身の状態を考慮する」ようにしましょう。患者さんの状態に合わせた接遇を行うことで、快適なクリニックを作ることができます。
様子を見てケアや介助が必要と判断されれば適切な対応を取り、世間話を楽しみに来院される方には節度を保ちつつ打ち解けた会話をするとよいでしょう。
特に、スタッフは医師に比べて患者さんと接する機会が多いので、患者さんの状態をいつも考慮することが重要です。
患者対応の実践例
診察室では入退室時の挨拶や共感の言葉、寄り添う言葉をかけるように意識しています。
問診中は「それは大変でしたね」「心配なさったでしょう」「治していきましょう」と声をかけ、患者さん1人1人を尊重しながら診察を行っています。
スタッフも同様です。敬意を払いつつ親しみをこめた声をかけ、患者さんがスムーズに手続きをおこない、快適に過ごせるようご要望を聞きながら状況を整えるようにしています。
また、患者教育ポイントや実践例は、以下の記事で紹介していますのでぜひご覧ください。
患者対応の注意点
患者対応では、「スタッフが笑顔で対応できる環境作りを心がけること」を意識しましょう。患者さんは、スタッフに丁寧で親切な対応をしてもらうと満足感を得られます。
このとき、スタッフには挨拶や笑顔など対応の仕方を指導してしまいがちです。確かに直接的な指導も大切ですが、そもそもスタッフがクリニックで生き生きと働けなければよい対応はできません。
スタッフが次の3つの心境に至っているか意識して、スタッフが働きやすい環境を作りましょう。
- 理念に深く共感して、それを自分自身の理念だと感じている
- スタッフ自身がクリニックに大切にされ幸せであると感じている
- 「自分がこのクリニックを作っている」という自覚を持っている
まとめ
患者満足度は、来院動機につながるため集患を行う上で非常に大切なポイントです。患者対応はもちろん医療システムや人材採用などさまざまな視点から対策を行い、リピート率アップにつなげましょう。