開業にあたって採用したスタッフの教育方法がわからなくて悩んでいませんか?
これから開業するクリニックのスタッフは業務内容を把握していないことが多く、連携が取りづらい状況です。。しかし、最初にしっかりとクリニック研修を行うことで、開業後の業務がスムーズに進みます。
また、スタッフのモチベーションやコミュニケーション力を高めることにもつながるため、開院後、つまづかないためにクリニック研修に力を入れましょう。
開業前のクリニック研修の目的
開業前にクリニック研修を行う目的は、主に次の3つです。
- スタッフ同士の連携をスムーズにする
- スタッフのモチベーションを高める
- 未経験者のレベルを引き上げる
研修はスタッフ全体のレベルを高めることができるので、クリニック自体の質を高めることにもつながります。
また、スタッフ同士の連携もスムーズになり、日々の業務を快適に進められるのでスタッフの定着率にも貢献します。
スタッフ同士の連携をスムーズにする
クリニックでの仕事のやり方を研修で学ぶことで、スタッフ同士に共通認識が生まれます。そうすることで、お互い連携しながら業務をこなせるようになります。
クリニック研修では患者さんとの接し方だけではなく、混雑時の対応の仕方やクレームの対処法なども学びます。さまざまな状況に合わせた対処法をスタッフ全員が理解していれば、いざというときに方向性を揃えながら対応することが可能です。
また、マニュアルやルールを研修で学ぶことでスタッフの行動に統一感が出るので、チームとしてまとまりを持って行動するようになります。
スタッフのモチベーションを高める
開業前のクリニック研修はスタッフのモチベーションを上げるためにも有効です。開業前は実際の仕事のイメージがつきづらく、仕事に対するやる気が下がりやすいです。
しかし、開業する前から実践的な研修を行って実際の業務と同じ状況を作ることで、スタッフは緊張感を持って開業を迎えるようになります。
さらに、自分が働いているイメージを持つことができるので、行動力ややる気も自然に高まります。ただし、厳しくしすぎたり理不尽な指導をしたりして悪い印象を与えると、逆効果になるので注意しましょう。
未経験者のレベルを引き上げる
未経験者のスタッフは研修を行うことで開業前でもレベルを引き上げることが可能です。採用したばかりのスタッフはクリニックでの業務経験がないこともあり、そのままだとほかのスタッフとの差が大きくなります。
クリニック研修を行って仕事の基盤をつくることでレベルをある程度まで引き上げて、未経験者でも働きやすい環境をつくることができます。
また、研修で未経験者のレベルを向上させられることがわかれば、今後入ってくる未経験のスタッフにも同じ手順で教えられるので、スタッフ教育がスムーズに進みます。
クリニック研修を行うタイミング
クリニックの研修は開業の2〜3週間前から行うのがおすすめです。研修は数日でできるものではないので、ゆっくり時間をかけて意識的なものから業務全般まで覚えてもらう必要があります。
また、経験豊富なスタッフばかりでも初対面同士で最初はなかなか上手く連携が取れません。お互いを知るためにも早めに研修を始めることが大切です。
業務研修では院内の動きを確認しながら行わなければいけないため、内装工事が終わり備品や機器の設置が完了してから始めましょう。
クリニック研修の2STEP
クリニック研修は主に業務自体のやり方を覚える研修と意識を統一するための研修にわけられます。
- 業務研修:機器の使い方や患者さんへの対応の仕方など
- 意識研修:医療従事者としての心構えや理念の共有など
研修だからといって業務内容ばかり教えていてもスタッフの一体感は生まれません。業務研修に加えて医療従事者としての考え方やクリニックの方針を統一することで、チーム力が高まってスムーズなクリニック経営につながります。
業務研修
業務研修は受付業務や患者さんへの対応の仕方などを教えます。当院の業務研修では、主に次のようなことを学んでもらいます。
- 保険証や患者さんから提出された書類の管理
- カルテ業務(電子カルテの操作法)
- 感染症対策
- 病診連携
- ホスピタリティのある接遇
- クレーム患者さんの対応の仕方
- 電話対応の仕方
- 混雑の緩和
- 窓口入金の集計
まずは渡された書類の管理やお金の集計方法など、受付で必要な業務全般を学ぶことでスタッフに実際の仕事をイメージしてもらいましょう。
業務研修では、患者さんを高次病院へ取りつぐ方法や診察終了後のタクシーの手配方法など細かい仕事も教えておくことが大切です。
そのため、実際の業務を想像しながら事前に教える内容を書き出しておくことをおすすめします。
さらに、混雑時の患者さんの誘導の仕方といった不測の事態の対応の仕方も研修で伝えることも重要です。あらゆる状況に対応できるスタッフを育てておくことで、いざというときでもスムーズに対処することができます。
意識研修
インナーブランディングの1つである意識研修は、日々の業務をスムーズに進めるために欠かせません。自院の理念やパーパスなどを浸透させることで意識を統一させ、仕事の方向性も揃います。
当院で行っている主な意識研修は次のようなものです。
- 院長の医療方針をスタッフに説明し理解を得る
- 医療従事者の役割と心構えを知る
- 組織づくりのためのワークショップ
- 就業規則の内容確認と理解を得る
- 21世紀の女性の働き方
最初に医療従事者としての意識やクリニック独自の方針を伝えて、クリニックで働く基盤となる考え方を理解してもらいましょう。ただし、考え方はすぐに浸透するものではないので、開業後も積極的に伝えていくことが大切です。
また、私のクリニックは女性のスタッフばかりなので、女性の働き方についても学んでもらうようにしています。女性の活躍が社会に与える影響を学ぶことで、より前向きに業務に取り組んでもらえると考えています。
>>:【人事問題に悩む院長必見】理念だけでは不十分!パーパス経営がクリニックに必要なワケ
クリニック研修を円滑に行うポイント
クリニック研修を円滑に行うためには、次の3つのポイントを意識しましょう。
- 事前にしっかりと計画を立てておく
- 研修は院長も参加する
- マニュアルやルールを作っておく
研修は準備をせずに行ってもなかなか上手くいきません。開業前には覚えなければいけないことがたくさんあるので、事前に準備をして効率よく必要な内容をスタッフに伝えることが大切です。
事前にしっかりと計画を立てておく
クリニック研修を行うときは事前に計画を立てておくことをおすすめします。開業の準備で忙しい時期ではありますが、研修はクリニック経営をうまく進めるためにも重要です。
また、研修が始まる頃には開業に向けてさらに忙しくなっているので、研修内容を考えるだけの余裕はなかなか持てません。
事前に毎日の研修内容を決めて、どれくらいの日数をかけて行うのかスケジュールを決めておきましょう。
研修で専門家や講師を呼びたいときは、日程調整も早めに行わなければいけません。
研修は院長も参加する
研修には院長も参加しましょう。特に、意識研修で伝える内容は院長の考え方や方針が基盤となっているので、院長も参加することでよりスタッフに伝わりやすくなります。
ただし、院長が一方的に話して終わらないように気を付けましょう。思いを話して終わるのではなく、スタッフからの自己紹介や意見交換も交えながら研修を進めることで院長への信頼感が高まります。
マニュアルやルールを作っておく
就業規則やクリニック内のルールは事前に作成しておきましょう。研修ではさまざまな業務や考え方を学ばなければいけないので、すべて口頭で説明してもスタッフは覚えきれません。
マニュアルやルールなどは整理して、データにするか書面で管理をしましょう。見やすいように作成して覚えやすいように工夫することが大切です。アプリを使っていつでも確認できるようにするのも良いです。
クリニック研修を行うときの注意点
クリニック研修に不安があるときは社労士や研修講師の支援を受けることが重要です。開業前はさまざまな準備を並行して行うため、研修まで手が回らない場合があります。
時間がない中で自分たちだけで進めても準備不足で研修がうまくいかない可能性が高いです。
自分たちで行う必要があるものと外部に依頼できるものをわけておくのがおすすめです。
研修とは別に模擬診療も行おう
研修が完了したら模擬診療を行いましょう。模擬診療は親戚や業者さんに模擬患者さんになってもらい業務を行います。
事前に予想される患者さんからの質問やハプニングを用意して、スタッフに対応してもらいます。
模擬診療は実際の業務をイメージすることができ、対応力も鍛えられるので開業前に行っておくのがおすすめです。
まとめ
開業前のクリニック研修はスタッフのレベルアップやモチベーションアップに効果的です。業務研修に加えて考え方を統一させる意識研修を行えば、チーム力が上がってクリニック経営もスムーズに進められます。
しかし、研修は教えることが多く手間もかかるので事前に準備しておかなければいけません。